投稿日:2016年9月23日
先日、個別相談に応じたお客様。
「父がどこに何があるのか、何も話してくれないので困っている」と息子さんからの相談です。
「なるほど、それは大変ですね」とその先を促すと、「どうやったら父が遺言を書いてくれるようになるでしょうか」と。
ん???
父が何も言ってくれないことと遺言作成が直接結び付かなくて???となってしまいました。
息子さんの手元には本屋さんで売っている真新しい<遺言作成マニュアル本>が置かれています。
「父はもうすぐ80歳になるんです、父が遺言を書かないまま死亡してしまったら、誰が僕のことを法的に守ってくれるのでしょうか?」
ん???
相続人が複数いるのかな?後妻がいるのかな?相続人が不仲なのかな?会社経営かな?認知している子でもいるのかな?
妄想がドンドン膨らんでいきます。
「母は20年以上前に死亡しています、子は僕一人です、父には後妻も婚外子もいません、父は公務員、僕は会社員です」
ん???
相続人は息子さん一人だけ…遺言を作成する理由が見当たりません。
もしかして遺贈(相続人以外の誰かに相続させたい)でもしたいのかな?と思いましたが、それもないそうです。
あのー、何か勘違いしているようですが、遺言を作成しなければいけないという法律はありませんよ。
一人っ子だったら遺言なんてなくても相続手続き上何も問題ありません。
むしろ、変な遺言を残される方が面倒だと思います。
また、遺言は「書くもの」であって「書かされるもの」ではありませんので、お父様自身がどう考えるかが重要であり、息子から圧力をかけて書かせるものではありません。
「そうですか…遺言作成は国民の義務だと思って焦っていました…遺言がなかったら何も相続出来ないのかと思っていました」
とは言え、遺言の話しとは関係なく、どこに何があるか分からないようでは相続手続きに時間がかかるでしょうから、お父様がエンディングノート等何等かのメモを残してくれると負担が楽になりますね。
「一応何が役に立つか分からなかったので、実家にあった資料を一式持参してきました」と言って、息子さんが机の上に資料を並べ始めました。
●固定資産税明細
●確定申告書
●取引金融機関の通帳全部
ん???
「どこに何があるか分からない」じゃなかったでしたっけ?
どこに何があるか、全部はっきりしてますけど…。
もちろん、不動産の詳細、タンス預金等の確認は必要でしょうか…。
色々な人がいますね。
今日も頑張ろう!
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