投稿日:2023年2月13日
令和5年度税制改正大綱に明記されたマンション評価の見直し。
以前から「マンションの時価と相続税評価額には大きな乖離が生じている」と指摘され、そのギャップを利用した節税が後を絶たず、そこに切り込んだ国税庁の伝家の宝刀「総則6項」に、昨年4月19日最高裁がお墨付きを与えた事件を記憶している方も多いと思います。
今年1月30日にマンション評価の見直しに関する第一回の有識者会議が開催され、本格的に議論が開始されました。
有識者会議のメンバーを見ると、大学教授、税理士、不動産鑑定士、不動産の専門家等の方が顔を揃えています。
第一回の会議では
●時価と相続税評価額の乖離はタワーマンション(以下「タワマン」という)だけの問題ではない。
●時価と相続税評価額の乖離はマンション全体の話しだ。
●見直し対象をタワマンだけにすべきではない。
●市場への影響にも配慮すべきである。
等の発言があったそうです。
最近、雑誌に「タワマン節税にメス」的な見出しが躍っていますが、上記発言の通り、今回の見直し対象はタワマンに限定されたものではなく、マンションそのものですから、そこを勘違いしてはいけません。
タワマンに関する明確な定義はありませんが、「タワマンとは、高さ60m以上、階数20階以上の高層マンション」と言われています。
しかし、都内にある低層のファミリーマンションでも、時価8,000万円のところ相続税評価額が3,000万円を切ることも珍しくありませんから、乖離はタワマンだけの問題でないことは明らかです。
タワマンだと、時価2億円に対し相続税評価額が4,000万円しかしないという驚きの物件もありますから、節税効果としてはタワマンの方がインパクトが大きく、そのためそこにフォーカスしてメスを入れるような受け止め方をされているのだろうと思います。
マンションの評価方法は国税庁の財産評価基本通達(以下「通達」という)で定められているため、今回の見直しは税制改正ではなく、通達の改正になります。
なので、法案を作成し、国会で審議し…と言う段取りは不要であり、国税庁の判断だけで、任意の時期から見直すことが可能なんです。
要注目ですね!
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