ブログ「相続の現場から」

相続実務ワンポイント『退職所得控除の使い残し』

投稿日:2025年12月4日

令和7年度税制改正により見直しされた退職所得控除の調整規程

 

ただでさえ「5年ルール」と「20年ルール19年ルールと呼ぶ人もいます)併存ややこしかった所、「5年ルール」「10年ルール」改正されたことでややこしさがMAXになりました。

 

今回は退職所得控除に使い残しがあった場合の取扱いについて解説します。

 

まずは、退職金にかかる所得計算方法について説明します。

 

退職所得の金額=(退職金の額-*退職所得控除×½

退職所得控除は、勤続20年以下「40万円×勤続年数」勤続20年超「70万円×(勤続年数-20年)」となります。

 

例えば、勤続30年の人が2,000万円退職金をもらった場合、

退職所得控除(40万円×20年)+{70万円(30年-20年)}=1,500万円になり、退職所得金額(2,000万円-1,500万円)×½=250万円になります。

 

次に退職所得控除の調整規程について説明します。

 

①退職金等を受け取ってから5年以上が経過すれば、再び退職した際に退職所得控除を満額(重複期間を含め)適用することができます。言い換えると、4年内に退職金を2回受けとると、重複期間について退職所得控除の適用を受けることができないことになります。【5年ルール】

 

先に会社の退職金等を受け取った場合20年以上経過した後に iDeCoや企業型DC等の確定拠出年金における老齢一時金を受け取れば、退職所得控除を満額(重複期間を含め)適用することができます。言い換えると、会社の退職金等を受け取ってから19年内に確定拠出年金における老齢一時金を受け取ると、重複期間について退職所得控除の適用を受けることができないことになります。【20年ルール】

 

令和7年度税制改正見直しされたのは、上記①年数

 

和8年1月1日以後確定拠出年金における老齢一時金の支払いを受けている場合以後に支払いを受ける退職手当等から4年内の部分が9年内に改正されました。【10年ルール】

 

いよいよ今回の本題である退職所得控除の使い残しについて解説します。

 

例えば、勤続30年の人が勤続中にiDeCoに加入し、先にidecoの老齢一時金500万円を受け取り、その5年後に退職金1,800万円を受け取ったとします。(令和7年にidecoの老齢一時金を受け取っているため【5年ルール】が適用されます。)

 

iDeCoの老齢一時金に係る退職所得金額

退職所得控除…40万円×加入期間20年=800万円

退職所得金額…(老齢一時金500万円-退職所得控除800万円)×½=0使い残し300万円⇒ 税金かからず

 

②退職金に係る退職所得金額

退職所得控除…(40万円×20年)+{70万円×(勤続年数30年-20年)+使い残し300万円1,800万円

退職所得金額…(退職金1,800万円-退職所得控除1,800万円)×½=0

 

国税「退職所得の受給に関する申告書兼退職所得申告書」を見ても勤続年数(加入年数)について記入するしかないため、使い残しがあった場合の取扱いについて疑問生じるところですが、「申告書の書き方」6を読むと使い残しがあった場合に活用できる旨を読み取ることができます。

 

詳しくは最寄りの税務署或いは税理士にお問い合わせ下さい。

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