投稿日:2016年5月11日
馬券の払戻金の「所得区分」と「必要経費」について納税者と国税が争っていた訴訟で、平成28年4月21日、東京高裁が納税者逆転勝訴の判決を下しました。
<国税の主張>
・一時所得
・外れ馬券は必要経費に該当しない
<納税者の主張>
・雑所得
・外れ馬券も必要経費に該当する
<東京地裁の判決>
・一時所得
・外れ馬券は必要経費に該当しない
★つまり、国税勝訴 ⇒ 馬券の購入が一連の経済活動を有すると認めることが出来ないため
<東京高裁>
・雑所得
・外れ馬券も必要経費に該当する
★つまり、納税者勝訴 ⇒ ノウハウを駆使し、恒常的に多額の利益を得ていた
この方、北海道の40歳代の男性公務員らしいのですが、平成17年~平成22年にかけ約72.7億円の馬券を購入し、この間、なんと総額5億円超の利益をあげていたそうです。
そのノウハウとは、「テレビや新聞等から集めた情報をもとに競走馬や騎手等を分析評価し、レース毎に8つの考慮要素(馬の能力、レース展開等)に基づいて結果を予想するもの」だそうです。
かけた時間、駆使した脳みそを考えると、もはやこれは<業>と言えますね。
遊びじゃありません。
競馬ファンが小遣い程度で賭け事するのとレベルが違い過ぎます。
平成27年3月10日に最高裁判決が出た似たような事案を記憶している方も多いと思いますが、(今の所)結果はほぼ同じです。
*北海道の事案は、まだ国税が上告する可能性がありますので確定ではありません。
最高裁の方は大阪の40歳代の男性会社員、独自ソフトを駆使しインターネットを介して長期間に渡り多数回かつ頻繁に網羅的に馬券を購入していましたので、北海道の方とは手法が異なります。
大阪の方は、平成19年~平成21年にかけ約28.7億円の馬券を購入し、この間、総額1.4億円の利益をあげていました。
ソフトを駆使するか、アナログ的に頭で考えるかの違いはあっても、どちらもほぼ<業>と言えるのではないでしょうか。
趣味の世界を超越した、これに賭ける意気込み、サムライの気合いを感じます。
「賭け事で自宅を建てた人はいない」と言い含められ、コツコツ小さくまとまって育った当方にはまったく理解できない話ですが、<裁判になると国税が負けることがある>事実には注目しています。
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