投稿日:2020年6月4日
平成28年度税制改正で創設された「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(通称:空き家の特別控除)」。
一定の要件に該当した場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円控除することができます。
大きいですね!
<主な要件は次の通り>
①相続開始直前に被相続人の居住用家屋だったこと
②昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分登記を除く)
③被相続人は、相続開始直前一人暮らしだったこと
④相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
⑤令和5年12月31日までに売却すること
⑥売却代金が1億円以下であること
⑦親子や夫婦等特別の関係がある人に売却したものでないこと
売却方法としては次の2パターンがあります。
A:一定の耐震基準を満たした家屋とその敷地等を売却する
B:家屋を取り壊し更地にして同敷地等を売却する
昭和56年5月31日以前に建築された古い家屋、しかも区分登記は適用外であることから対象物件のほとんどが木造家屋です。
なので、B(更地にして売却)で適用を受ける方が多いと思います。
そこに“落し穴”があります!
「空き家の3,000万円特別控除」は、家屋と敷地等の両方を取得した個人にしか適用されないのです。
つまり、家屋だけとか、敷地等だけを取得した人には適用されません。
『親が一人暮らししていた実家を兄弟2人で相続し、その実家を売却しお金に替え兄弟2人で分ける場合、「どうせ家屋は取り壊すのだから」と長男だけが家屋を相続し、土地は兄弟2人で相続する』
ね、ありそうな例でしょ?
この場合、家屋を相続した長男は譲渡所得から3,000万円控除できますので負担する譲渡税が少なくなりますが、家屋を相続していない二男に特別控除はありませんから負担する譲渡税が多くなってしまいます。
つまり、<仲良く2等分>って考えていたのに、手取りが大きく異なると言う残念な結末…。
「家屋は価値が低いから」「どうせ取り壊すのだから」と安易に考えず、適用要件をよく確認した上で取り組みましょう!
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