投稿日:2021年4月30日
相続コンサルタントにとって士業との連携は仕事を進める上で重要なテーマの一つです。
税金の申告なら税理士、係争案件は弁護士、登記は司法書士、不動産の評価は不動産鑑定士。相続コンサルタントが相続業務に携わる上で、士業抜きで進められる案件はほとんどありません。
そもそも相続コンサルタントと言う「資格」は世の中に存在しませんから、常に“業法の壁”が立ちはだかります。相続コンサルタントは誰でも名乗れる単なる“肩書”に過ぎません。
では、相続コンサルタントは何をする人かと言う話はちょっと横に置き、今回は士業との付き合い方について話したいと思います。
僕がまだ若手のペーペーだった頃、税理士にお客様を紹介したところ、その後税理士とお客様との間で話が勝手に進み、僕が税理士に途中報告を求めたところ守秘義務を盾に何も教えてもらえず、結局税理士へ顧客を紹介しただけで終わってしまったことがあります。お客様からは「良い税理士を紹介してくれてありがとう」と言われましたが、その過程で生じるであろうビジネスチャンスは得られませんでした。
その時僕は「あの税理士は営業が分かっていない、誰にお客様を紹介してもらっていると思っているんだ、失礼な先生だ」なんて悪態をついていました。
でも、その後経験を積み、ようやく状況を冷静に理解することができました。
当時の僕はお客様に必要とされていなかったんです。
お客様からは、税理士の紹介しか期待されていなかったんです。
お客様が税理士に一言「吉澤さんも同席でお願いします」「吉澤さんにも報告して下さい」と言えばそれで解決する話しです。税理士もお客様の了解も得ていないのに紹介者だからと言って勝手に個人情報を話す訳にはいきません。
今の僕は士業ではありませんが、お客様の紹介を受ける立場にあります。お客様をご紹介頂けることは大変ありがたいのですが、お客様に「紹介者の方から進捗状況等の問い合わせがあった場合どうしますか?」と聞くと、「全部話していいですよ」と言う方もいれば、「別に話さなくていいです」と言う方もいます。こちらとしては紹介者の立場や狙いも考え、全員がwin-winの関係になるように上手く案件を進めたいのですが、残念ながらそうならない案件もあります。
困るのは、お客様が「紹介者に話さなくていい」と言った案件ほど、紹介者からこちらに問い合わせが入ることです。
士業と仕事をする相続コンサルタントの方、お客様を紹介しているのだから偉いとか立場が上だと勘違いしてはいけません。
士業には士業としての仕事があり、お客様を紹介して頂いていると言う感謝の気持ちは皆持っています。しかし、だからと言って紹介者を向いて仕事する訳にはいきません。依頼主はお客様です。お金を払ってくれるのはお客様なんです。
重要なのは、お客様と士業の双方が「紹介者である相続コンサルタントがいた方がいい、必要だ」と思うかどうかです。
士業にお客様を紹介しても“蚊帳の外”になってしまう方は、自分が必要とされていない事実を真摯に受け止めて下さい。士業の問題ではないかもしれません。
お客様が紹介者への報告を要望しているにも関わらず報告してくれない士業は「分かってない人」ですので、一緒に仕事するのはやめましょう。
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