民法改正により、令和4年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられました。

この改正が相続実務にどのような影響を与えるのか、まとめてみました。

＜相続（民法）関係＞

①18歳以上であれば遺産分割が可能になりましたので、相続権を有する人が18歳以上であれば、家庭裁判所に特別代理人や未成年後見人の選任を申し立てる必要がありません。

②18歳以上の人は自ら遺留分侵害請求権を行使することができます。

③18歳以上であれば遺言執行者に就職することができます。

＜相続税関係＞

①未成年者控除が従来の「満20歳に達するまで」から「満18歳に達するまで」へ改正されましたので、未成年者が負担する相続税が少し増える可能性があります。

②相続時精算課税制度を利用して贈与を受けることができる年齢が18歳以上に引き下げられました。ここで言う「18歳以上」とは、贈与する年の1月1日時点で18歳に達している者を指しますのでご注意下さい。

③暦年贈与（いわゆる年110万円贈与）の税率は、20歳以上の子又は孫への贈与に適用される「特例贈与」と、それ以外の「一般贈与」に分けられます。身内である子や孫への贈与に適用される「特例贈与」の税率の方が「一般贈与」よりも低く設定されています。この「特例贈与」の税率が適用される子や孫の年齢が18歳以上に引き下げられました。この場合の「18歳以上」も（②同様）贈与する年の1月1日時点で18歳に達している者を指しますのでご注意下さい。

④結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置の適用を受けることができる子や孫の年齢が18歳以上に引き下げられました。

⑤非上場株式等に関する贈与税の納税猶予及び免除特例（自社株の納税猶予制度）の適用を受けられる受贈者の年齢が18歳以上に引き下げられました。

⑥住宅取得等資金の贈与に関する非課税措置の適用を受けられる受贈者の年齢が18歳以上に引き下げられました。

＜その他＞

①NISA口座を開設できる人の年齢が18歳以上に引き下げられました。

②婚姻できる年齢が男女ともに18歳以上になりました。（従来は、男性18歳、女性16歳）

＜注意点＞

①養子を迎えることができる年齢が、従来の「成年に達した者」から「20歳に達した者」へ改正されましたので、結果的には従来と同じ（不変）です。

②酒、煙草、競馬、競輪、競艇は従来同様20歳になるまでは駄目ですよ。

令和4年4月1日時点で18歳以上20歳未満の人（2002年4月2日生～2004年4月1日生）は、令和4年4月1日に成年に達します。

2004年4月2日以降に生まれた人は、18歳の誕生日に成年に達します。

色々な事を想定しながらコンサルしないといけませんね。