投稿日:2023年5月31日
相談者や塾生(注:相続実務研修『吉澤塾』相続研究会会員のこと)から質問を受けた際、一番困るのは正解を求められること。
その度に「相続ってそうじゃないんだけど…」と思います。
例えば、
「後々問題とならないように贈与するにはどうしたらいいですか?」と聞かれたとします。
教科書的には、贈与者と受贈者の意思、財産の移動、贈与契約書、贈与税の申告納税、通帳や印鑑、使用収益状況、支配状況等について説明します。
しかし、お金をもらった子がきちんと贈与税の申告納税を行ったとしても、口座開設時の印鑑や申込書の筆跡が親のままだったとしたら…、実家近くの銀行に口座があったら…、実際にそのお金を管理しているのは親ではないだろうか…?との疑念を持たれる可能性もあります。
「生命保険金はいくらまでなら遺産分割の対象になりませんか?3000万円?4000万円?」と聞かれた場合、平成16年の最高裁判例を基に考え方について説明しますが、いくらまでなら大丈夫と言ったガイドラインはありませんので、奥歯に物が挟まったような回答にならざるを得ません。
弁護士の先生と話しているとよくこの手の話しになります。
つまり、裁判になった場合、裁判官がどこの部分を重視しているかにより判断が異なる。双方の主張の仕方にもよるし、裁判官によっても見方は異なる。なので、絶対に勝てるとかはあり得ないし、こうすれば絶対に勝てると言った魔法の法則はない。
もちろん勝つためにどこの時点でどれを出すか等の作戦を考え、主張を展開していくのだが、期待する判断が下されるかどうかは蓋を開けてみない限り分からない。
過去の判例を踏襲したとしても、必ずその通りになるとは限らない。
相続には正解はありません。
相続に算数的な1つの回答を求めること自体が間違いです。
それを踏まえ、「どうしたら良いか」を助言できるよう日々精進しています。
まさに、正解のない問への挑戦です。
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