投稿日:2023年7月20日
令和5年7月4日(火)付の新聞に、『外貨建て保険 監視強化へ~金融庁 販売重視の評価体系懸念~』の記事がありました。
顧客軽視の販売姿勢が見られる銀行等に対し、金融庁が監視を強化すると言った内容なのですが、個人的な意見としてどうかなあ…と思う所がありますので、今回はそれについて話してみたいと思います。
記事には、
「金融庁は外貨建て一時払い保険の販売実態について監視を強化する。売れば売るほど営業担当者の人事や給与評価が高くなる大手銀行や地方銀行があり、顧客のニーズに沿った商品提案が出来ていない金融機関を問題視しているためだ。」
とありますが、
「売れば売るほど営業担当者の人事や給与評価が高くなる」には当たり前の話です。売れない担当者の給与や評価が高くなったらおかしいでしょ。「売れている=稼いでいる」から給与がたくさん貰え、評価も高くなるのです。そこは外貨建て保険の販売とは関係ないのではないのではないでしょうか。
後段の「顧客のニーズに沿った商品提案が出来ていない金融機関を問題視している」の部分は確かにその通り。担当者が自分の手数料稼ぎだけを考え、顧客を騙すようなセールスを展開し、そのことを銀行が容認している或いは後押ししているのなら、そこは大問題ですから、きちんと是正してもらわないと困ります。
「金融庁は販売増加の背景の一つとして「販売を推進する業績評価体系であることがうかがわれる」と指摘した。保険販売に占める外貨建て一時払い保険の販売割合が9割超と高い銀行では外貨は円貨に比べ2.5~4倍の業績評価が設定されているケースがあった。」
とありますが、
外貨建て保険は手数料などの率が高く、売れば売るほど儲かる商品ですから、外貨建て保険をたくさん販売した担当者の業績評定を高く設定するのは当たり前の話です。
そこにメスを入れたいのなら、手数料率を下げればいいじゃないですか。手数料率が高過ぎるんですよ。そうすれば顧客が負担する保険料も安くなるから一石二鳥です。
「顧客より銀行の収益を重視するような販売体制に懸念がある先については、重点的に検証する姿勢を示した。」
とありますが、
銀行は営利企業です。儲けなければ明日はありません。稼がないと株主から怒られるんです。従業員に給与を払えないんです。顧客に儲けてもらえれば自分達は貧乏でも構わないなんて営利企業はないですよ。
そこを是正したいのなら、顧客の意識を変えればいいじゃないですか。銀行とはこういう会社ですと国民に理解してもらうことが先ではないでしょうか。
「金融庁は「国民の資産形成に資するビジネスモデルの構築が難しいと判断する場合は、リテールビジネスから撤退し他の分野への経営資源の集約も選択肢」としている。」
とありますが、
この部分については少し衝撃を受けました。つまり、真面目に取り組んだらリテールビジネスは儲からないでしょ、だったらリテールビジネスから撤退し、別の事やったらどうですか?と金融庁が提案しているんです。
ある意味、合併、廃業、リストラを促しているとも取れます。
古くて新しい「顧客本位」問題ですが、銀行に騙されたと騒ぐ前に、騙されないようにすることが大事ではないでしょうか。
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