投稿日:2024年7月17日
令和6年7月2日(火)付の新聞に、『5人以上の個人事業所~厚生年金、全業種対象に~企業規模の要件撤廃』の記事がありました。
遅かれ早かれいつかはこうなると思っていましたが、改正された場合、かなり影響が大きいと思います。
厚生労働省は、厚生年金の適用拡大に関する有識者懇談会を開き「パート労働者にかかる企業規模の要件を撤廃する」「5人以上の個人事業所は全業種を対象に加える」といった内容を盛り込んだとりまとめ案を了承しました。2025年の年金制度改正に向けて、年末までに最終案をまとめるそうです。
現在、「1週間(或いは1ヶ月)の所定労働時間(所定労働日数)が正社員の4分の3以上」あるパート労働者は厚生年金に加入することになっています。
また、「1週間(或いは1ヶ月)の所定労働時間(所定労働日数)が正社員の4分の3未満」であるパート労働者であっても、
・企業規模101人以上(2024年10月~51人以上)の事業所である
・1週間の所定労働時間が20時間以上である
・2ヶ月以上の雇用期間が見込まれる
・月額賃金が8万8,000円以上である
・学生でない
といった条件を満たす場合は厚生年金に加入することになっています。
*「企業規模101人以上」は、今年の10月から「51人以上」に改正されます。
また、個人事業所の場合、農林水産業や旅館、飲食店、クリーニング、理容・接客などのサービス業等を除く(ほぼ全ての)業種で、5人以上の従業員がいる場合は厚生年金に加入することになっています。
*令和4年10月から、弁護士、沖縄弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、公証人、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、海事代理士、税理士、社会保険労務士、弁理士等のいわゆる士業事務所も、常時5人以上の従業員がいる場合は厚生年金の適用事業所となりました。
今回の取りまとめ案だと、新たに「パート労働者約130万人」及び「5人以上の従業員を雇用する飲食や理美容といった個人事業の従業員約30万人」の合計約160万人が厚生年金の加入者になるそうです。
厚生年金に加入する(同時に健康保険にも加入することになります)ことで、休業した場合の傷病手当金や出産手当金がもらえたり、老後の年金が増えたり、障害年金をもらえる等のメリットが生じますが、パート労働者の多くは「今お金が必要だから」働いていらっしゃいます。
将来もらえる年金よりも、「今お金が必要」なんです。
また、社会保険料は労使折半(従業員と会社が2分の1ずつ負担する)ですので、雇用する会社側にとっても大きな負担となります。
そもそも厚生年金や健康保険、介護保険、国民健康保険等の社会保険を「社会保険料」として税金とは別に徴収し運営していること自体が大きな間違いだと思っています。
税金も社会保険も国民や会社が負担しなければいけない費用と考えたら同じですから、これを一体として運営し、国民負担を分かりやすく示し、世代間扶養といった人口に左右される先行き不透明な訳の分からない制度をやめ、負担と給付の関係を明確にすべきです。
恐らく似たような意見の方も沢山いると思いますが、見直しには数百年かかりそうですね。
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