投稿日:2024年11月4日
いよいよ「2025年問題」が来年に迫ってきました。
「2025年問題」とは、1947年~1949年に生まれた「団塊の世代」約800万人が2025年に後期高齢者(75歳以上)の仲間入りを果たし、年金等の社会保障をはじめ、医療や介護、労働力、少子化等様々な分野で問題を起こすことを指します。
実に「国民の4人に1人が後期高齢者」という超高齢化社会を迎える「2025年問題」は、相続の現場にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
まず、「2025年問題」がもたらす問題を簡単に整理しておきましょう。
①社会保障費のひっ迫
年金受給者が増え、通院・入院する人が増えますから、社会保障費が急増します。
年金や医療は、現役世代が退職世代を支える世代間扶養の仕組みを採用しているため、現役世代の社会保険料の負担が重くなります。
②医療や介護の負担増
医療や介護が必要となる人が増えるのに対し、受け皿となる医療や介護の現場では人手不足が深刻になり、許容量を超えてしまうのではないかと指摘されています。
③労働力の低下
生産年齢(15歳~64歳)といわれる現役バリバリの人口が減りますから、全ての仕事で人手不足に陥ります。
更に少子化が拍車をかけ、人口減少と少子化というダブルパンチで長期に渡り問題を深刻化させていきます。
④空き家問題
既に人口が減少し続けているのに、次から次へと新しい建物が建築されている訳ですから、当然に空き家が増加していきます。
放置された空き家は老朽化を加速させ倒壊等の危険を生みますし、景観を損なうため周辺環境にも良くない影響を与えます。また、害虫や害獣等の発生により不衛生な状態を引き起こし、更に不法侵入や不法投棄等防犯上も悪影響を及ぼします。もちろん防災上の観点からもいいことはありません。
次に、「2025年問題」がもたらす相続への影響について考えてみます。
①相続の複雑化
お一人様、子なし夫婦の増加により、相続人が兄弟姉妹や甥姪といった第三順位者が相続人になるケースが増えるのではないでしょうか。
相続人が配偶者や子であれば身近な存在ですが、兄弟姉妹や甥姪は縁遠い場合もあるため話し合いや手続きに支障をきたす可能性が生じます。
②生前贈与の増加
経済的に余裕がある高齢者から子や孫への資金援助が増えるのではないでしょうか。
相続税対策として、令和6年に改正された相続時精算課税制度の活用も増えると予想しています。
③名義預金の増加
生前贈与を行う人が増えるため、いわゆる「なんちゃって贈与=名義預金」も増えると予想しています。
贈与は、「あげる」と「もらう」の両方が揃って初めて成立する民法上の契約行為です。「あげたつもり」「あげたことにしている」では贈与は成立しませんのでご注意下さい。
④遺言書の増加と遺言トラブル
相続の複雑化により遺言書を作成する人が増えると思われますが、同時に曖昧な遺言だったり、法的に不備があったり等の遺言トラブルの増加も懸念されます。
遺言をビジネスとしてしている人の全員が本物の専門家ではないため、遺言作成を相談する場合はセカンドオピニオンをつける等自分なりの防衛策を考えましょう。
他にも色々と考えられると思いますが、本格的な超高齢社会を迎えるに当たり、今までの常識が非常識に変わってしまう可能性もありますので、相続対策を検討する場合、柔軟に考えなければいけませんね。
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE