投稿日:2025年7月16日
令和7年7月10日(木)付の新聞に、『デジタル遺言解禁~録画・証人立ち会い要件~法制審提示へ』の記事がありました。
以前から導入が囁かれていた「遺言書のデジタル化」が本格的に動き出したようです。
これ、どうなのかなあ…いいことなのかなあ…?
良いこともあると思いますが、僕は嫌な予感がするので、以前から本件については「総論賛成・各論反対」の考え方でいます。
記事によると、法相の諮問機関である法制審議会が近く「デジタル遺言書」の導入に向けた制度案を取りまとめるそうです。
詳細は案を見てみないと分かりませんが、現行制度では要件が厳格に定められている自筆証書遺言について、PCやスマホで作成した遺言書であっても、親族等を除く2人以上の証人が立ち会い、遺言者が口述する様子を録画することを条件に、自書や押印なしでも有効にするのだとか。
遺言データもデジタル化して保存されるため、紛失リスクが軽減されるとのこと。
具体的には7月中に中間案をまとめ、パブコメにかけられたうえで、令和8年度中に関連改正法案の成立を目指すそうです。
遺言書作成が身近になり、皆が自分の遺志を簡単に残せるようになること自体は良いことですのでいいと思います。
しかし、良くないことが起こるような気がしてならないんです。
例えば、
①PCやスマホで作成した遺言書
⇒ 一体誰が作成したの?本当に自分で作成したの?「こう書いて欲しい」と希望する長男が作成したんじゃないの?
②親族等を除く2人以上の証人が立ち会い
⇒ その証人って遺言を書かせたい長男の息のかかった知人じゃないの?
③遺言者が口述する様子を録画することを条件に、自書や押印なしでも有効にする
⇒ 誘導尋問じゃないよね?カメラ側からカンペ出されて読んでないよね?いい所だけ切り取って編集していないよね?
そもそも、現行の押印ルールだって、本当に本人が印鑑を押したのかどうか分かりませんから、全文を遺言者自らが自書し署名する現行要件は、遺言書が自らの遺志を伝える意味ではとても有益だと思っています。
「書くのが大変」と言うのであれば、多少お金はかかりますが、公正証書で作成すればいいのですから。
自分の希望に沿った遺言書を作成して欲しいと、長男がPCで遺言書を作成し、長男が作成したカンペを読む親の姿が撮影され…なんてことができてしまいそうで怖い…。
遺言書は「書くもの」であり「書かされるもの」ではありません。
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