投稿日:2025年7月22日
令和7年7月13日(日)付の新聞に、『割れた診断 阻まれた復職~「障害は治癒」「回復とはいえない」~勤務先の判断課程、判決注目』の記事がありました。
密かにお気に入りの「揺れた天秤~法廷から~」シリーズ。
今回は、メンタルの不調(適応障害)により休職していた女性社員の復職を巡るトラブル。
裁判の概要は次の通り。
本人の意に沿わない降格人事により精神的に不調に陥った女性社員が、休職を経て、主治医から「復職可能」の診断結果が出されたことから会社に復帰しようとしたところ、勤務先が指定した医師は「回復は一時的であり復帰は困難」との診断結果を出し、勤務先は指定医の診断結果に基づき復職を認めず、その後就業規則に則りこの女性社員は自動的に退職扱いとなりました。
女性社員が勤務先から部下の指導や業務の進め方などを巡り降格人事を通告されたのは、部下が「パワハラを受けた」と労働基準監督署に駆け込んだから。訴えた部下は「毎日一人でトイレ掃除をさせられ、女性社員が出勤している限り会社に行けない」と申告しています。
降格人事を通告された女性社員はこの処分をパワハラだと不満を募らせ、休職中に会社を相手取り「精神的苦痛を受けた」と労働審判を申し立て、地裁により降格処分の取り消しと30万円の支払いを勝ち取りました。
女性社員は会社との争いに勝ったことから元気を取り戻し、管理職としての復職を目指します。
ところが、勤務先がそれを認めなかったことから裁判となりました。
地裁は(女性社員の主張を認め)「主治医の診断結果を否定するのは妥当ではない」と自然退職を無効としました。勤務先が高裁へ控訴したところ「勤務先が自然退職を撤回し未払い分の給与等の解決金を女性社員へ支払う」ことで和解が成立し、合意退職となりました。
僕が気になったのは、裁判の結果やその過程(判断材料)ではなく、そもそもこの女性社員のキャラクターについて。
新聞記事の情報だけしか判断材料がないためあくまで想像でしかありませんが、この女性社員は恐らくどの会社にも一人はいる「面倒なやつ」ではないでしょうか。
周りと上手くやれない、協調性がない、上司や部下と良好な関係を築けない構、何かあると騒ぎ立てる等、組織の中では活躍できない(会社から見たらやっかい)タイプではないでしょうか。
つまり、記事の最後にも書いてある通り、会社としては日頃からこの女性社員を「面倒なやつ」だと考えていて、それでも労働者に優しい労基法の壁があるため簡単に降格や解雇等することができなかったところ、ちょうどタイミングよく事件が起こったことから「結論ありき」で話しを進めていったのだと思います。(あくまで個人的な想像です。)
そう考えると採用ってリスクですよね。(同感する経営者は多いのではないでしょうか。)
人手不足なためある程度割り切って採用せざるを得ない世の中ですから、このような問題は色々な所で起こっていると思われます。
欧米のように簡単に解雇することができない日本の雇用制度では、一度採用したら相当な事件でも起こさない限り雇用を続け給与を払い続けなければいけません。
昔務めた銀行にも似たような社員がたくさんいました。仕事のパフォーマンスに見合わない給与を得ている人、面倒な人、騒ぎ立てる人、問題を起こす人、使えない人…。
国が人材の流動化をうたうのであれば、解雇要件を緩和し(もちろん安易な解雇は慎むべきですが)もっと柔軟に雇用関係を運用できるようにすべきだと思います。
役に立たない従業員を雇用し続けなければならない会社の負担が軽減されれば、もっと生産性は上がり、できる従業員へ手厚い処遇を実現することができます。
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