投稿日:2025年10月14日
令和7年9月21日(日)付の新聞に、『給食パン「窃取」免職宣告~「食べられるのに捨ててしまう…」~処分の重さ行き過ぎか』の記事がありました。
密かにお気に入りの「揺れた天秤~法廷から~」シリーズ。
今回は、検査用に冷凍保存されていた食材を盗んだとして1100万円超の退職金をもらえなくなりそうになった小学校の給食調理員の50代女性(勤続25年)が主人公。
持ち帰ろうとしたのは調理から1週間~2週間経過したクロワッサン1個とリンゴロールパン1個、油揚げ2袋(だけ)…。
学校側(教育委員会)は、学校給食法に基づき食中毒発生に備えた検査用の食材を盗み「給食を食べる児童の安全を脅かした」と女性調理員を懲戒免職した上で退職金を不支給としました。
そこで、女性調理員は処分が重すぎると教育委員会を相手に処分の取り消しを求め提訴ました。
以前からこの小学校ではリーフレタス、トイレットペーパー、トマト、調味料等が行方不明になる事件が頻発しており、同僚の調理員はこの女性調理員が犯人ではないかとを疑っていたようです。
そして、警戒監視を続けていた所、女性調理員が不審な行動を取っていると連絡が入り、校長と教頭が現場に駆け付け事件が発覚しました。
女性調理員は「やってはいけないことをやってしまった」と非を認めた上で、コロナと家庭環境によるメンタル不調とフードロスをその理由に挙げました。
名古屋地裁は処分が重すぎるとして懲戒免職と退職金不支給の各処分を取り消し、判決は確定しました。
裁判が確定し女性調理員は晴れて現場に復帰することになり同僚らに謝罪したのですが、「安心して一緒に調理できない」と受け入れを拒否されてしまいました。
女性調理員は調理場のとりまとめ役だったようですが、「不機嫌になると調理場の雰囲気が悪くなる」と以前から距離を置かれていたようです。
女性調理員が持ち帰ろうとしたのは調理から1~2週間ほど経ったパン2個と油揚げ2袋の合計4品だけ、しかもそのうち3品は既に保存期限を過ぎて廃棄対象であり、残る1品も保存してから6日が経過していた…。
このことだけを見たら大騒ぎするような問題じゃないでしょ!となりますが、女性調理員が日頃から職場で浮いた存在であり、食材以外の備品を含め窃取が常態化していた問題人物だとすると、見方が変わってきます。
真相は分かりませんが、ギスギスした人間関係や雰囲気の悪い職場環境は感じ取れます。
いずれにしても、窃取の理由に家庭問題に端を発したメンタル面を挙げるのはどうかと思いますが。
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