投稿日:2014年8月29日
主要省庁による平成27年度の税制改正要望が出揃いました。これから各要望を税制改正調査会が議論し、年末に税制改正大綱としてまとめ発表され、年明けの国会を経て成立します。
主要省庁の要望は景気の下支えを目論んだものらしいのですが、我々国民全員にとって薔薇色な改正なのかどうか、微妙です。
例えば、「NISAの非課税枠」を年120万円(現行100万円)に拡大する案ですが、NISAを活用した中途半端な長期保有で本当に投資家が恩恵を受けることが出来るのでしょうか。非課税枠の拡大は株式市場や金融機関にとって良い話なのは間違いないでしょうが、節税メリットの恩恵を本気で受けたいなら、NISAではなく「確定拠出年金」で投資信託を購入した方がその効果は大きくなります。NISAは「確定拠出年金」に加入し上限まで投資した後でいいかと。
また、「教育資金の非課税制枠」(一人1,500万円、平成27年末まで)を延長・拡充する案ですが、そもそも扶養義務者相互間における教育費や生活費は昔も今も贈与税が課税されませんから、孫や曾孫の教育費は祖父母等が都度援助(贈与)し、その上で年間110万円まで非課税の「暦年課税制度の贈与」を上手く組み合わせれば、もっと有効にお金を使うことが出来ます。
更に、「住宅取得資金等の贈与の非課税制度」を延長・拡大する案についても、将来相続が発生した場合に「小規模宅地等の評価減」が適用されないデメリットを考えると、相続対策が必要な方は子に自宅を持たせることが良いのかどうか、慎重に考えた方が良いでしょう。
(詳しくは、2014年8月26日のブログをご覧下さい。)
どの要望も非課税枠が大きくなる話ですから我々国民にとって良い話かもしれませんが、目先のメリットに惑わされ飛びつくと、将来痛いツケが回ってくるかもしれませんよ。
税制改正された制度を活用することで、一体誰が得をし(儲け)、誰にツケが回ってくるのか、落ち着いてよく考えた方が良さそうです。
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE