ブログ「相続の現場から」

『「遺言は公正証書」広がる』

投稿日:2015年12月31日

本日平成27年12月31日(木)付の新聞に『「遺言は公正証書」広がる』の記事がありました。

記事は「相続税基礎控除引き下げに伴い課税対象者が増えていき、争族回避の手段として注目されている」という内容です。

 

丁度、同時並行で遺言見直を含めた相続コンサルを2件取り扱っている最中ですので、今日は遺言について書いてみたいと思います。

 

まず、このブログで何度も繰り返し言っていますが、遺言があっても揉め事はなくなりません

「期待した財産が貰えない」「僕の方が少ない」「あいつだけは許せない」等、いくら法的に有効な遺言を作成しても、人の心まではコントロールできません。

遺言最大のメリットは、揉めても手続きが進むことです。

 

手続きさえ進めば、揉めようが、喧嘩になろうが、相手が文句を言ってこようが、とりあえず名義変更も出来るし、お金も引き出せるし、相続税申告だって何とかなります。

手続きさえ進めば、お墓だって取得できるし、相続税だって納税できるし、当面の生活だって目途が立つんです。

 

ですから、遺言作成するに当たり、プロとして重要視しなければいけないことは、

①遺言そのものに間違い(財産漏れ、記載ミス、不備等)がないこと

②万が一の場合、【勝てる】こと

だと考えています。

 

現在相談に応じている1件目は、「弁護士に依頼して遺言を作成してもらった」と公正証書遺言を見せてくれた案件。

全財産を同居している子に相続させる内容ですが、パッと見て、財産に漏れがあることが判明。

保有している賃貸物件の接道部分の土地が遺言に記載されてないんです。

接道部分を他の相続人に押さえられたらどうするんでしょうか?

遺言者の申告した財産しか記載していないのか、調査が怠慢なのか、実務を知らないのか、理由は不明です。

他にも突っ込み処満載<不備のデパート>状態でした。

弁護士には200万円支払ったそうです。

 

もう1件も「弁護士に依頼して公正証書遺言を作成してもらった」という案件。

見ると、遺言執行人が遺言者より年配(年上)、現在後期高齢者のその弁護士になっています。

弁護士は高齢になっても痴呆等の心配はないのでしょうか?

遺言者より長生きする(裏付けのない)自信はどこからくるのでしょうか?

こちらも、もちろん財産に漏れがありました。

共有名義になっている不動産すべてが記載されていません

 

どちらの遺言書も「付言」がないので、万が一が起こった場合、遺言書を作成した背景や遺言者の心情がまったく分からないんです。

これでは、争族になった場合、勝てるかどうか怪しいですね。

 

法律の専門家は裁判所と言うリングで戦えばいいのでしょうが、リングに上がる前に解決した方が(経済的にも精神的にも)相続人にとっては良いはずです。

「揉めたら自分の仕事になる」とでも思っているのでしょうか。

 

遺言は、執行した時に関わった人の実力が出ます

その時に、依頼主(遺言者)はいません。

「○○に口なし」で片付ける訳にはいきません。

 

遺言を作成するだけなら、本を読めば誰にでも出来ます。

だからこそ、プロとアマの差を示すのが難しいのも事実です。

ほとんどの方は「資格」や「肩書」「知名度」で判断してしまうでしょう。

 

以上、年末最終日に相応しい(?)、僕らしいブログでした。

 

来年もよろしくお願いします!

 

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