投稿日:2016年5月6日
相続相談に100件応じたら、うち90件は税金(相続税)関係じゃないでしょうか。
時々、争族や納税の相談もありますが、とても「稀」です。
確かに、税金は気になりますし、少しでも安くなる方法があるのなら知りたいですよね。
しかし、「相続」の経験が豊富な人ほど、「相続税」よりも「相続」そのものの方が重要であることに気付いています。
だって、「相続」が上手くいかないと、「相続税」が安くなりませんから。
ところで、「相続税」と「相続」って、考え方も基準も違うこと、知ってますか?
「相続税」は<税法>、「相続」は<民法>ですから、そもそも適用となる法律が異なります。
例えば、土地の価額。
「相続税」は税金ですので「路線価」をベースに計算しますが、「相続」の代表である「遺産分割」は民法の話ですので「時価」をベースに話し合います。
遺産分割で「路線価」は(原則)使いません。
もちろん、お互いが合意すればどのような基準で話し合っても構いませんので、「路線価」をベースに話し合う人もいるでしょう。
しかし、「路線価」は客観的な時価を正確に反映している訳ではありませんし、相続発生日と遺産分割時でタイムラグもありますので、一つの目安にはなると思いますが、核心を突いている訳ではないので注意が必要です。
手続きの期限も違います。
「相続税」の申告納税は10ヶ月以内ですが、「相続」手続きには期限がありません。
相続が発生してから5年後に遺産分割協議を行っても、同8年後に名義変更を行っても、御咎めなしです。
「相続税」がかかる人は、10ヶ月以内に遺産分割をまとめないと、配偶者控除や小規模宅地等の特例の適用を受けられないため、忙しいだけです。
財産の範囲も異なります。
「相続税」では「死亡前3年以内の贈与」しか加算しないのに対し、遺産分割では「特別受益に該当する贈与であれば基本的に何年でも遡って」持ち戻します。
他にも挙げていったら切りがない程たくさんあります。
「相続」に携わる人は、<今、何の話をしているのか>をしっかり理解した上で相談に応じるよう心掛けましょう!
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