ブログ「相続の現場から」

『平成29年度税制改正大綱』

投稿日:2016年12月10日

平成28年12月8日、与党より『平成29年度税制改正大綱』が取りまとめられ、即日公表されました。

政府は月内に本大綱を閣議決定し、年明け1月に召集される通常国会に法案を提出し、今年度末までの成立を目指す流れになります。

 

大綱の相続関連をざっと見た(個人的な)感想は以下の通り。

 

①配偶者控除見直し

・「103万円の壁」を「150万円」まで拡大したと言っても、社会保険の「130万円の壁」が取り除かれない限り片手落ち

・その辺り、将来抜本的な所得税改革で見直すらしいのですが、ガラガラポンするのか(出来るのか)疑問

 

②積立型NISAの創設

既存制度との住み分けが超ややこしくなりました

・「貯蓄から投資へ」の気持ちは分かるのですが、そもそも一般消費者には「増やしたい」ニーズはあるものの、「投資したい」ニーズはありませんので、そのギャップはNISAで埋められないと思います

 

③海外居住の人が相続税の課税対象外となる要件を「海外居住10年」へ見直し

・「あと1年」と思い頑張って慣れぬ海外で暮らしてきたお父さん、お母さん、「あと6年」頑張って下さい!

・そもそも「自宅はどこか(事実認定)」をしっかり理解していないと駄目ですけどね

 

④タワーマンション課税の見直し

・タワマンの固定資産税評価そのものを見直すならば相続税に影響を与えますが、高層階と低層階の固定資産税額だけいじるのならタワマン節税に影響なしですね

・「平成30年度税制改正でその辺り見直すらしい」と言う噂ですので、もしかしたら1年猶予されただけかも

 

⑤有価証券等が物納順位1位に

・従来国債や不動産等だけだった物納第1順位に有価証券等が加わりました

・証券業界は「有価証券等の相続評価を90%に引き下げて欲しい」と要望していましたが認められず、そのバーターかも

 

⑥取引相場のない株式の評価方法見直し

・類似業種比準価額の3要素(配当・利益・純資産)の比重が、従来の「1:1:3」から「1:1:1」に見直されます

・会社によっては株価引き下げにつながると思いますが、逆に「自社株引き下げ」対策が難しくなったかも

 

⑦広大地の見直し

・現行の「単純面積比例方式」から、「各土地の個性に応じた規模格差補正率方式」に見直すそうです

・地主さんにとっては大改正ですね

 

⑧その他、検討課題

・年金課税…将来強化か?

・金融所得の一体課税…「有価証券+債券」に、どこまで加えるのか?

・個人事業主の相続税…中小企業オーナーとの格差を縮小?

・成年年齢…民法改正による成年18歳社会に向け、今から準備

 

興味ある方はこちら↓「平成29年度税制改正大綱」

(140頁あるので開けない方が無難です)

https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/133810_1.pdf

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