投稿日:2018年9月10日
「○○税務署です。相続税申告の件で、少しお話を伺いたいのですが」
このセリフを聞くだけで気持ちが参ってしまいますね。
特に、何も知らない一般の方にとって相当な精神的負担になることは間違いありません。
先日、2年前に死亡した夫の相続税申告について、所轄の税務署より申告を担当した税理士宛てに税務調査の日程調整連絡がありました。
最初の段階で「○○について聞きたい」と調査目的について軽く告知してくれる場合もあるのですが、今回は一切ありません。
相続人は高齢の妻一人です。
相続財産評価額は配偶者の税額軽減160百万円の範囲内に収まっているので、納税は発生していません。
160百万円まで相当余裕がありますので、仮に何等かの財産漏れがあっても、納税が発生しない可能性が高い事案です。
なのに、暑い中わざわざ税務署の職員が自宅まで聞きにくる…何かあるのでしょね。
税理士と一緒に事前打ち合わせに同席し、税務署が調査に来る理由が分かりました。
「そりゃ来たくなるよね!」って思う財産の“持ち方”だったのです。
●申告した相続財産のほとんどが現金である
●その額は数千万円にのぼる
●その現金は、全額未だに自宅にある(タンス預金)
●妻も相続財産とは別に数千万円の預貯金を保有している
●夫が死亡する数年前から毎月100万円ずつ現金を引き出している
●複数の銀行から貸金庫を借りていた
でも、奥様の話を伺うと、辻褄が合わないおかしな所はなく、隠している様子もありません。
余程誰もが知らない爆弾でも抱えていない限り、申告是認だろうと思いました。
しかし、問題はそこではありませんでした。
奥様が不安で不安でドキドキしてしまったのです。
奥様が受けた精神的な負担は重く、税理士から電話があっただけで心臓が高まり、寝込み、事前打ち合わせ時に「自分固有の財産を夫の相続財産として修正申告し、追加で相続税、追徴税、延滞金を払ってもいいから、来ない方法はないの?」と言い出す始末…。
気持ちは分かります。
「当日、税理士がずっと横に座って守ってくれますから心配しなくても大丈夫ですよ。財産額が億を超えているので、取りあえず話を聞きたいだけかもしれませんし。」と言っても、「なんで自分が税務署の取り調べを受けないといけないの…悪いことなんて何一つしていないのに…。」と落ち込み、不安ばかりが募っていくようでした。
さてと、どうなることやら。
今後、この手の話が増えるんでしょうね。
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