投稿日:2018年12月27日
40年振りの民法(相続法)改正で創設される「配偶者居住権」。
これって、いいような…悪いような…、判断が凄く難しい、いわゆる「プロ泣かせ」な制度だと思います。
妻が80歳の時に夫が死亡した場合、平均余命が短いので配偶者居住権の評価は低くなります。
その分、妻はその他の財産(お金等)をたくさん相続できます。
高齢者に多額のお金が必要なのか、(人それぞれとは言え)判断が分かれる悩ましい所です。
一方、妻が60歳の時に夫が死亡した場合、平均余命が長いので配偶者居住権の評価が高くなります。
つまり、妻はその他の財産(お金等)を少ししか相続できません。
「まだ若いので働けるだろうから住む所さえあれば大丈夫」と考えるのか、「先が長いのにお金を相続しなくて大丈夫?」と心配するのか、う~ん、難しい。
また、配偶者居住権は譲渡不可なので、配偶者居住権を相続した妻が将来老人ホーム等の施設入所を希望しても、自宅売却資金を施設入所費用に充当する訳にはいきません。
先のことは誰にも分かりませんが、自由度が乏しいと、生活設計そのものにも影響が出てしまいます。
配偶者居住権を相続した妻は、小規模宅地等の特例「特定居住用宅地等」の適用を受けることができます。
しかし、所有権より小さくなった配偶者居住権で80%減額の適用を受けてもその効果は小さく、相続税全体に与える影響も軽微に留まります。
一般論として、提案・検討の選択肢が広がることは良いことなのですが、先のことなんて誰にも分かりませんから、メリットとデメリットを比較しようにも不確実過ぎ、(案)だけが独り歩きし、かえって混乱が生じてしまうのではないでしょうか。
僕自身、どのように提案すべきか、かなり悩んでいます。
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