投稿日:2019年10月31日
今年8月27日に東京地裁で下された「相続財産である賃貸不動産の評価は、路線価や固定資産税評価ではなく不動産鑑定評価(時価)で行うべき」の判決。
過去にも似たような事案はいくつもあり、いわゆる総則6項(伝家の宝刀)が抜かれた事案なのですが、判決文を読めば読むほど「じゃあどうすればいいの?」と突っ込みたくなります。
だって、課税庁である国税庁が明らかにしている指示通りに評価したのに「駄目」と言われるんですよ。
正に<自己否定>
それだけじゃありません。
注意しなければいけないのは、「相続税の負担を軽減させる(=節税)ことを目的として行った行為(=相続税対策)により、相続税評価額と時価に大幅な乖離が生じた場合、今後も総則6項(=伝家の宝刀)が抜かれる可能性がある」と言うこと。
もちろん、金額や行為、程度等の様々な要因により一定の線引きはされるのでしょうが、資産家にとってはやっかいな事態になりました。
判決では、「経緯」や「動機」にも着目していますので、高齢になってからの具体的な行為には気を付けなければいけません。
借入を行った銀行や、物件を取得した不動産業者、建築会社等にもしっかり調査が入ります。
恐らく税理士や、コンサルタントが介在していればそのコンサルタントも話を聞かれるでしょうね。(ついでに税理士法違反も炙り出されちゃったりして)
大事なことなので、敢えてもう一度言います。
この判決がまかり通るなら【相続税対策そのものが駄目】の構図が成り立ってしまう(可能性がある)んです。
●相続税対策として、非課税枠を活用すべく定期預金500万円を一時払い終身にする ⇒ 駄目?
●相続税対策として、毎年子や孫に110万円ずつ贈与する ⇒ 駄目?
●相続税対策として、遊休地に借金してアパートを建てる ⇒ 駄目?
なんてことになったら大変…さて、どうする?
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