投稿日:2019年11月5日
先日最高裁で争われた「再転相続の熟慮期間に関する起算日」で俄然注目を集めたのは、「知った時はいつか」の部分。
(詳細は省きますが、相続の専門家だったら必ず押さえておかないといけない判例の一つです)
相続って、この「知った時」がよく出てくるんです。
例えば、相続税の申告期限。
皆さん「お亡くなりになってから10ヶ月以内に申告しなければならない」なんて説明を聞いたことがあると思いますが、これ、間違いです。
正しくは、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」です。
【事例①】
独居老人だった父が孤独死し、近所からの異臭通報で警察が介入し死亡が確認されました。
警察が父の自宅に入り、死亡を確認したのが5月10日。
鑑識による死亡推定日時は5月3日。
離れて暮らす娘に連絡がついたのは5月12日。
もう一人の相続人である長男は海外出張中だったため、連絡がついたのは5月20日でした。
さて、相続税の申告期限はいつですか?
相続放棄の期限(熟慮期間)も、「自己のために相続があったことを知ってから3ヶ月以内」と定められています。
【事例②】
借金まみれの父が死亡し、相続人である妻や子は皆相続を放棄しました。
そのことを全く知らなかった父の兄弟が、自分に次順位者として相続権があることを知ったのは、父が死亡してから1年後でした。
さて、父の兄弟が相続放棄できるのはいつまでですか?
で、問題になるのは「いつ知ったのか」。
この辺りの事実認定や起算日、期限については慎重に対応しないと大変な目に遭ってしまいますので、ご注意下さい!
<正解>
事例①…娘は翌年の3月12日、長男は翌年の3月20日
事例②…自分に相続権があることを知ってから3ヶ月以内
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