ブログ「相続の現場から」

相続の現場から<特別編>「不倫して得したのは…」

投稿日:2020年3月24日

離婚する場合、夫婦の財産は原則2分の1ずつに分与されます。

財産分与の対象は、婚姻時から離婚時までの財産です。

 

「3組に1組が離婚する(離婚率30%)」

「2分に1組が離婚する」

世の中ですので、婚姻前に“万が一”を想定しなければいけない時代になりました。

 

離婚時のお金のやりとりは、大きく分けて3つあります。

①財産分与

②慰謝料

③養育費

 

この3つはそれぞれ「独立して考えなければいけません。

 

年収6千万円資産3億円開業医(夫)から「妻の不倫が発覚したため、離婚したい」と相談がありました。

妻は専業主婦のため、財産はほとんどありません。

小学生の子が2人いました。

離婚原因はにあります。

 

まず、①財産分与は、離婚原因に関係なく、婚姻時から離婚時までの間に夫婦で築いた財産を2分の1するのが原則です。

夫しか稼いでいなかったとしても、妻には内助の功が認められ、その取得には妻の協力(家事等)があったとみなされます。

財産の名義は関係ありません。

 

夫は婚姻前は勤務医であり、婚姻前に保有していた財産はなく、現在保有している財産3億円はすべて婚姻後に開業し築いたものです。

そこで、財産分与夫から妻へ1億5,000万円支払うことになります。

 

ちなみに、妻が受け取る財産分与が現預金であれば非課税です。

 

次に、②慰謝料ですが、これは離婚原因をつくった(不貞行為を働いた)妻から夫へ支払われます。

金額としては皆さんが想像するよりはるかに低く、300万円になればかなり高額な部類に入るでしょう。

不貞行為が悪質であっても500万円なんて余程の資産家悪質性がない限り、あまり聞いたことがありません。

100万円~200万円でも普通、婚姻期間が短ければ50万円もあります。

 

最後に、③養育費です。

離婚は夫婦間の問題であり、子には一切関係ありません。

むしろ子は被害者と言えます。

 

養育費は、裁判所が公表している「養育費算定表」を基準に考えることがほとんどです。

(昨年12月23日に見直しされ、少し増額になりました)

本件では、「夫は高級取り、妻は無職、子は2人共小学生」のため、「1人月額30万円」と算定されました。

 

この話を聞き、夫が怒り狂いました。

 

「なんで悪いのは100%妻なのに、俺の財産を1億5,000万円もあいつにあげ、慰謝料として300万円だけ貰い、毎月60万円も払い続けないといけないんだ!」

 

気持ちは分かります。

 

でも、法律ってそうなんです。

 

特に、養育費は、子が未成年なので親権者たる妻へ渡しているだけで、妻に使わせる小遣いじゃありませんし、可愛い子のためですから…。

 

タイムマシンがあって、この夫婦が婚姻する前に時計を巻き戻すことが出来たら、こんな結果にならないよう対策(案)を授けることができたのですが…。

 

長くなりましたので、具体的な対策(案)は次回へ。

 

あ、時計を巻き戻したら結婚しないか…。

 

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