投稿日:2022年11月4日
令和6年4月1日から、不動産を所有している人が亡くなった場合の所有権移転登記(相続登記)が義務化されます。理由なく相続登記を怠ると10万円以下の過料に処せられてしまいます。
今回は相続登記の義務化の注意点について解説します。
日本には所有者が不明な土地が国土の22%以上あると想定されており、その理由は、
①相続登記が未了なことと、
②住所変更等の登記が未了なこと
でほぼ占められています。
確かに現在相続登記は義務ではないので、親が死亡しても不動産を自分の名前に変えない子がたくさんいます。だって、登録免許税等の登記費用がかかりますから。売ったり建てたりしない限り相続登記しない気持ちも分かります。
令和6年4月1日以後、相続登記は次の2つが揃った時に義務が生じます。
①自己のために相続が開始したことを知り、
かつ
②故人の不動産を取得したことを知った日から3年以内
つまり、親が死亡したことを知らなければ義務は生じませんし、遺言や遺産分割により自分以外の相続人が不動産を取得した場合も義務は生じません。
注意が必要なのは次の2つです。
1つ目は、「親が死亡したことは知っているが、遺産分割が成立しない場合」です。
この場合、親が死亡したことを知った日から3年以内に、①法定相続割合で相続登記を行うか、或いは②相続人申告制度制度を利用し自らが相続人の一人であることを法務局へ申し出るか、いずれかしないと10万円以下の過料に処せられてしまいます。その後遺産分割が成立したら再度登記し直さないといけませんから、二度手間にもなってしまいます。
2つ目は、「法改正施行日前に発生している相続も相続登記義務化の対象になる」と言うことです。
例えば、30年前に親が死亡し親名義のままの不動産が残されていた場合、法改正の施行日から3年以内に相続しないと10万円以下の過料に処せられるのです。
30年前は子2人が話し合えば良かったのに、30年間のうちに子が死亡してしまい、子の配偶者や子の子或いは孫が当事者となり、その人数は10名に増えているかもしれません。更に、当事者が高齢で認知症、遠隔地に居住している、海外で暮らしている等、時の経過とともに状況はドンドン変化していきます。
思い当たる節がある方は、「まだ改正まで1年半近くある」ではなく、「改正まで1年半を切った」と1日でも早く動いた方が良いでしょう。
過料に該当する場合であっても、いきなり「払え」と言われるのではなく、まず催告され、それに従わない場合は過料に処すと言う流れになるようですが、問題を先送りして良いことは一つもありません。
今のうちに手続きしておきましょう。
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