投稿日:2022年12月16日
令和4年12月11日(日)付の新聞に、『再婚後出産、現夫の子に~嫡出推定で改正民法成立~明治以来初 無戸籍解消へ』の記事がありました。
産まれてきた子が前夫と血縁関係がなくても前夫の子として入籍される事態(嫡出推定)を避けるため、母親が無戸籍を選択してしまう(子が無戸籍となる)状態を救済するための改正ですので、歓迎すべきなのですが、全ての問題が解決できる訳ではありませんので注意が必要です。
今回の主な改正は、
①女性が離婚後100日間は再婚できない規定を撤廃する
②女性が離婚後300日以内に出産した子は、女性が再婚していれば再婚後の夫の子とする
③子の出生から3年以内であれば、母や子から嫡出推定の否認を求めることができるようになる
等です。
例えば、ダブル不倫の状態で、女性が妊娠・出産した場合、子の戸籍はどうなるのか、父親は誰になるのか、考えてみましょう。
①女性も男性も共に離婚が成立し、再婚した上で出産した場合、子は再婚後の夫の子として戸籍に入る
②女性が離婚してから300日経過した後に出産し、男性の離婚が成立していない場合、不貞相手の男性が子を認知する
③女性が離婚してから300日以内に出産し、かつ再婚できていない場合は、子は前夫の子として戸籍に入る
ことになります。
今回の改正により、女性も離婚後すぐに再婚できるようになりましたので、上記①が可能となりました。(改正前は、女性は離婚後100日間は再婚できず、その後再婚したとしても離婚後300日以内に産まれた子は前夫の子として戸籍に入りました。)
問題は上記③のパターンです。今回の改正により、女性が離婚後に「再婚している場合」、子は再婚後の夫の子として戸籍に入れることになりますが、再婚できていない場合、子は前夫の子として戸籍に入ってしまうんです。
ただし、今まで家庭裁判所における嫡出否認(嫡出の推定を覆す)の調停や審判は、夫しか申立てできませんでしたが、今後は妻や子も申立てできますので、一度前夫の子として戸籍に入ってしまった後でも、正しい姿に戻してもらいやすくなったと言えるでしょう。
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