投稿日:2022年12月19日
令和4年12月11日(日)付の新聞に、『不動産ID普及後押し~国交省、災害情報など連携~間取りや過去の取引状況』の記事がありました。
記事によると、国交省は、中古不動産の取引拡大等を後押しするため、国内のあらゆる不動産に割り当てられる識別番号「不動産ID」を普及させるとのこと。自治体の再開発計画や災害ハザードマップでの活用も視野に入れているようです。
ただ、本当に普及させることができるのか、ちょっと心配です。
と言うのも、不動産業者が情報の囲い込みができなくなることを嫌がるのではないかと思うからです。
記事にも「不動産業者は情報収集の手間が省ける利点があるが、自分たちだけが持つ情報がオープンになることでビジネス機会を失いかねないとの懸念もある。活用が広がらない要因となる可能性もある。」と書いてあります。
不動産仲介業者にとって美味しい取引は、売主・買主双方から仲介手数料をもらう「両手取引」です。(以前から「双方代理ではないか」と問題視されている取引形態ですが。)
売主から売却物件の情報を入手した業者の中には、自分達が依頼を受けている買主との間で取引が成立すれば売主・買主双方から仲介手数料を受け取ることができる「両手取引」となりますが、売却物件が広く流通され、別の業者が買主を連れて来ると「片手取引」となってしまい、仲介手数料が半分になってしまいます。
そのため、売買情報を入手した業者の中には、自分達の抱えている顧客の中だけで取引が成立するよう情報を囲い込み、情報を開示しないところもあるのです。
もちろん売主が情報をオープンにしないよう依頼してくる場合もありますから、一概に業者だけの意向ではない場合もありますが…。
また、情報をオープンにしないことで価格の透明性を薄め、裏で買主の不動産会社とつるみ鞘を抜いている業者もいます。
例えば、本来3,000万円の不動産であるにも関わらず、買主である不動産会社との間で2,500万円で売買契約を成立させ、安く買えた不動産会社から仲介手数料とは別に儲けの半額である250万円もらう等のやり方です。
「不動産ID」が完全に普及し、「囲い込み」や「裏取引」ができなくなると、グレーな取引で儲けていた業者はビジネスチャンスを失うことになります。
さて、どうなるでしょうか。
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