投稿日:2023年3月5日
民法(相続法)改正により、遺留分の算定基礎財産に含まれる相続人への贈与は「相続開始前10年以内に行われたもの」に限られることになりました。
この改正は、2019年7月以降に開始した相続から適用され、それ以前に開始した相続には10年と言う期限はありません。
これはあくまで原則であり、例外があることご存知ですか?
例外を知る前に、まずは基本となる原則を押さえておきましょう。
遺留分の算定基礎財産に加えられる(持ち戻される)財産は、
①相続人への贈与は相続開始前10年以内
②相続人以外への贈与は相続開始前1年以内
これが原則です。
ところが、これには例外があり、「遺留分権利者(遺留分を請求する相続人)に損害を与えることを知った上で行われた贈与」は、それが10年以上前に行われた贈与であっても算定基礎財産に含まれるのです。
例えば、父が「次男が相続できる財産を少なくしたい」と若いうちからから長男へドンドン贈与していったとします。この場合、実際に父が死亡し次男が長男相手に遺留分侵害請求権を行使すると、長男への贈与が10年以上前の古い贈与であっても遺留分の基礎財産に含まれる可能性があるのです。
父が次男に損害を与える意図を持って長男へ贈与したことを証明しなければいけないのは遺留分権利者である次男ですので、実際に証明するのはなかなか難しいかもしれませんが…。
もちろん、裁判になった場合、特別な事情が汲まれる可能性もあるでしょう。
物事には「原則」と「例外」がありますので、早い段階から贈与すれば遺留分対策はバッチリと勘違いしないよう注意しましょう。
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