投稿日:2023年4月19日
令和5年4月12日(水)付の新聞に、『相続手続き 脱アナログ~テックで課題解消に一役~』の記事がありました。
個人的には、歓迎の部分もあるし、なんだかなあ…と思う所もあるし、といった受け止め方です。
記事は、「複雑で面倒な相続手続きを、IT、デジタル化により効率化を進めようといくつかのスタートアップ企業が動き出した」という内容になっています。
相続には面倒な手続きがテンコ盛りですから、その部分が解消されるのは歓迎すべきことです。
ただ、その背景に、顧客サービスという耳に優しい言葉の裏にある自分達の儲け、誘導したいバックエンド商品が見え隠れしているのが気になります。
「顧客と財産管理委任契約を結び、顧客の銀行口座の状況をチェックし、不正な引出し等がないか確認するサービスを始める。」とありますが、身寄りがない等、周囲に頼れる人がいない場合はそのサービスの利用を検討してもいいと思いますが、実際は司法書士が高齢者を囲い込むためのツールとして、将来の種蒔き的に活用する可能性が高いと思っています。
みんなお金儲けが上手だなあ…。
「家族信託の普及に向けて効率化を図る」ともあります。本音が出てしまいましたね。
家族信託(民事信託)って、相続対策の一つの手段なんですよね。数ある対策方法の一つに過ぎないんです。
しかし、信託の組成に関与することで多額な手数料がもらえるので、実際は何とかして信託を組成させたいと商品として売られています。
つまり、「最初から答えが決まっている」と言うこと。
相続対策を講じる場合、まず①現状を把握し、その上で②問題点を整理し、そして③浮き彫りになった問題点を解決するための策を考えるのが基本的な流れとなります。
「③浮き彫りになった問題点を解決するための策を考える」ところが最初から決まっている時点で、それはコンサルではなくセールスです。
信託があまり普及していないのは、色々な理由があると思いますが、僕は
・制度が難し過ぎて利用者が理解できないこと(僕は制度を正しく理解している利用者に会ったことがありません。)
・他にもっと簡単で楽な案があること
・提案する側がちょっと相続を勉強した程度の人なこと
・最初から答えが決まっている人が提案していること
だと思っています。
(あくまで個人的な感想です。)
近い将来年間160万人の方が亡くなる「大相続時代」がやってきますので、相続問題の処理・解決は大きな社会問題です。
デジタル化により簡単に処理・解決できればそれにこしたことありませんが、それが可能なのは事務手続きだけです。
手続きに感情が入ると機械的な処理がほぼ不可能な状態になりますので、そこはやはり真に詳しい本物の専門家の出番となります。
2022.5.16
2024.7.4
2020.2.4
2020.1.4
2017.4.23
2024.12.4
2024.12.9
2024.10.7
2015.12.14
2022.11.21
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE