ブログ「相続の現場から」

相続実務ワンポイント『遺言があることはバレる?』

投稿日:2023年12月4日

遺言書を作成する目的の一つとして、「財産をあげたくない相続人がいる」場合があります。

 

ただし、一定の相続人には遺留分がありますから、あげたくないと思っても、遺留分権を行使された場合、遺留分相当の金銭を交付しなければいけません。

 

とは言え、遺留分請求できる権利には「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内」「例え相続が発生したことを知らなかったとしても、相続開始から10年以内」という期限が定められていますので、10年経てば遺留分を請求されることはなくなり、結果遺言書の通りになるのです。

 

では、遺留分権を有する相続人遺言書の存在を教えないで済む方法はあるのでしょうか?

 

自筆証書遺言自宅で保管していた場合、家庭裁判所による検認手続きが必要になります。遺言書を保管している人等が検認を申し立てると、家庭裁判所から全相続人に通知がいきますので、遺言の存在が分かってしまいます。

 

自筆証書遺言法務局に預けた場合はどうでしょうか。結論から先に言うと、全相続人に遺言の存在が分かってしまいます。と言うのも、遺言者死亡後、関係相続人等が法務局で遺言書の閲覧等を行った場合、全ての相続人に対し、法務局の遺言書保管官が、遺言書が法務局の遺言書保管所に保管されていることを通知するからです。(関係遺言書保管通知」制度)

 

尚、遺言者が希望すれば、遺言書保管官が遺言者の死亡を確認した場合、遺言者が予め指定した受遺者等、遺言執行者又は推定相続人に遺言書が保管されている旨を通知する制度(指定者通知)があるのですが、現在は1名しか指定できないところ、令和5年10月2日からは3名を指定することができるようになります。

 

公正証書遺言の場合、検認は必要なく、関係遺言書保管通知」制度もないため、誰にも告げず相続手続きを進めることができます。つまり、気付かれなければ遺留分を請求されることなく手続きを終えることができる可能性があります。

 

ただし、公正証書遺であっても、遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者には全相続人に対する財産目録の開示義務がありますので、遺言の存在が分かってしまいます。

 

「じゃあ遺言執行者を指定しないでおこう」と安易に考えてしまいますが、遺贈の場合は遺言執行者が必須ですから、定めがないと家庭裁判所遺言執行者の選任申立てを行うわなければならず、かえって面倒が生じてしまいます。「相続させる」遺言の場合、遺言執行者は不要です。

 

つまり、遺留分権を有する相続人になるべく遺言書の存在が気付かれないようにするためには、「公正証書遺言にし、相続させると書き、遺言執行者は指定しない」ことになります。

 

あくまで「今の所」です。

 

「関係遺言書保管通知」制度創設の趣旨(全ての相続人等が遺言書の存在に気付くように)に照らして考えると、いずれ公正証書遺言でも似たような仕組みができそうな気がします…。

 

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