投稿日:2024年1月31日
今まで相続対策、特に相続税対策のための贈与と言ったらほぼ暦年課税制度の贈与でした。相続税対策として相続時精算課税制度を活用している人なんて、ごく一部を除きほとんど聞いたことがありません。
だって、面倒な届出不要、年間110万円までだったら非課税、誰にでもあげられる、贈与してから3年経てば相続財産に加算されない等、簡単に効果が得られましたから。
しかし、税制改正により、令和6年1月1日以降は立場が逆転し、これからは相続時精算課税制度が相続税対策の主役になりそうです。
そんな中、「これからは相続時精算課税制度の時代ですよ」と声高らかに提案している人に遭遇したのですが、ちょっと、いや、かなり残念な感じが…。
お客様から「保険会社の方から提案されているのですが」と相談がありました。
その方は同族会社を経営されている方で、数年前に一度相談に乗ったことがあり、経済的にはなかり余裕のある生活を送っている、いわゆる資産家・富裕層の方です。
お話を伺ったところ、日頃から付き合いがある保険会社の営業の方から保険料贈与プランについて次にように提案されているとのこと。
「社長、これからは相続時精算課税制度ですよ。だって年間110万円以内だったら贈与後すぐに相続が発生しても相続財産に加算されないんです。暦年課税だと7年経たないと効果ありませんから、相続対策として即効性を求めるなら相続時精算課税制度です。」と説明されたそうです。
あながち間違いではありませんから、「まあ、いいんじゃないですか」と言ったところ、「実は贈与しようと考えているのは長男の嫁なんです。同居し面倒を見てくれているので、少しでも何かの足しになればと感謝の気持ちを示したかったので。」
ん?????
長男の嫁は遺言等を作成していない限り「相続又は遺贈により財産を取得しない者」に該当するので、相続前贈与の加算(7年持戻し)の対象外です。贈与後すぐに社長がお亡くなりになられても持戻しはありません。ですので、税務署に「相続時精算課税選択届出書」を提出しなくても済む暦年課税制度の方が楽でいいと思います。と言うか、そもそも長男の嫁と義父の間では相続時精算課税制度の適用はありませんから、どうしても適用させたいのなら養子縁組を結ぶことになりますけど。」
その後、提案してきた保険会社の営業の方どうなったのか気になります。
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