投稿日:2024年2月5日
相続税は、現金や預貯金、不動産といった積極財産(プラスの財産)から、借金等の消極財産(マイナスの財産)を控除した課税価格を基に計算します。
ここで控除できる債務とはどのような債務を指すかご存知ですか?
例えば、細々とした年金収入しかない父が親戚から300万円借りたまま1円も返済せずに死亡した場合、300万円を控除できるでしょうか?
父の収入が年金しかなく、しかもその額が相当に低く、常識的に考えたら返済できないような場合であっても、父が自己破産等していない限り(返済できる可能性がゼロではないので)控除することができます。
しかし、父が死亡する前に親戚から「昔色々世話になったから返済しなくていいよ」と言われていたら、控除することはできません。
相続税の課税価格計算上控除できる債務については、相続税法第14条第1項に『前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。』と定められています。
ここで言う『確実と認められるもの』とは、「相続開始の時において、債務の存在が確実と認められるのみでは足りず、債権者による請求等により、債務者につきその債務の履行が義務付けられている債務であることが必要である。」と解されています。
つまり、「返済するのは難しい」程度では「確実」と言えないため、控除することができるのです。
逆に、父が資力のない親戚にお金を貸したまま死亡した場合はどうでしょうか?
その親戚の収入や資産から考え、返済される見込みはほとんどないと考えらるとしても、親戚が自己破産等していない限り貸付金は存在しますので、貸付金として課税価格に計上します。
債務や貸付金は相続手続きを行う上で面倒な財産ですので、元気なうちに整理しておきましょう。
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