投稿日:2024年3月25日
令和6年3月20日(水)付の新聞に、『10年以上経過後発見の遺言~遺産相続認められず~時効取得が成立』の記事がありました。
遺言があることを知らず遺産(不動産)を相続し、その後10年以上経過してから遺言書が見つかった…。
果たしてその遺産(不動産)は誰が相続するのでしょうか?
最高裁がその答えを出しました!
記事によると、2004年におばが死亡し、唯一の相続人である女性(養子)が遺産である不動産を相続し所有権移転登記(相続登記)も済ませたところ、10年以上経過した2018年になって自筆証書遺言書が見つかったそうです。
検認を受けるべく家庭裁判所で遺言書を開封したところ、相続人である養子を含む3人に不動産を均等に遺贈すると記載されている…。
相続人である養子は「善意・無過失で10年以上不動産を占有しており、民法に定める時効取得が成立している。」と主張しました。
これに対し、他の受遺者は「民法上、相続人ではない人が相続権を侵害された場合、侵害を知ってから5年以内であれば財産を取り戻すことができる相続回復請求権が認められている。侵害の事実を知ったのは検認時でありまだ5年経過していない。相続回復請求権を行使できる場合は時効は成立しないと大審院(今の最高裁)が判示している。」と主張しました。
最高裁は「大審院の判事は家督相続を前提とするものであり、相続回復請求権を行使できる期間内であっても時効取得は成立する。」と判断を下し、二審である東京高裁の判決を支持しました。
遺言書があっても日の目を見ないケースは多いと言われています。現にそのような事案に何度か遭遇しました。
相続開始から相当年数が経過してから遺言書が見つかった場合、タイミングによっては財産の帰属について大問題に発展する可能性があります。
月並みですが、後日トラブルとならないようにするためには、相続が発生した後、遺言の有無について相当力を入れて調査するしかありませんね。
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