投稿日:2024年7月22日
令和6年7月2日(火)付の新聞に、『マンション修繕 借金頼み~工費上昇、10年で融資3倍~積立金段階上げ難航』の記事がありました。
「そりゃ、そうだろう」と思いましたが、改めて運命共同体としてのリスクを抱えるマンションの将来性に寒気を覚えました。
記事では、
●2000年代に大量供給されたマンションが大規模修繕の時期に入ったが、資材高や人件費の上昇により工事費が高騰しているため、修繕積立金だけでは資金が足りず、借入れで工事費を賄っている物件が増えている。
●修繕積立金の額を段階的に引き上げるマンションにおいて、所有者の話し合いが難航し計画通り引き上げられていない物件もある。
●資金不足を理由に修繕を延期・中止すると、住環境を保てない、外壁のはげ落ちなど周辺にも危険を及ぼしかねない、適切に管理されていない物件であるとして資産価値が落ちる等の悪循環に陥る。
とあります。
金利がゆるやかに上昇していくサイクルに入りましたので、借り入れるにしてもその負担は今後所有者に重くのしかかります。
戸建て住宅であれば、自分だけの判断で修繕するか、しないか、するならばどこを修繕するか、どのように修繕するか、どれ位お金をかけるか等は自分だけで決めることができます。
戸建て住宅であっても修繕は必要です。何もしないで済む訳ではありません。しかし、その判断が自分だけでできるため、誰かに足を引っ張られたり、余計な会議などに時間を取られたり、隣や上下階の居住者と気まずい関係になったりすることがありません。
例えば、今年は子供が受験だから来年にしよう、再来年退職金が出るからその時に修繕しよう、将来売却する可能税が高いから最低限の修繕にしておこう等、自由に考えることができます。
ところが、マンションは自分だけの考えではどうにもなりません。
Aさんは資金に余裕がありしかもまだ若いので「今すぐに修繕したい」と思っていますが、高齢のBさんは「どうせこの先長くないから余計なお金をかけたくない」と修繕には後ろ向きです。
Cさんは「資産価値を保つためにも定期的な修繕は必要である」と考えていますが、Dさんは「別に売る訳じゃないので、見栄えは気にせず最低限のことだけすればいい」と思っています。
修繕等を行う場合、管理組合の総会で決議を得なければいけませんが、大規模修繕を行う場合は「特別決議」と言われ「区分所有者総数の4分の3以上」かつ「議決権総数の4分の3以上」の承認が必要となります。
所有者の足並みが揃わなければ何もできず、沈みゆく船に一緒に乗るしかないのです。
“一抜け”を狙っても、そのようなマンションは買主に敬遠され、安い価格でしか売れません。
人口が加速度的に減少していくのに、街には次から次へとマンションが建てられています。
僕は自分の子が自宅を取得するならば戸建て住宅を勧めます。
どうしてもマンションに住みたいと希望するなら、買うのではなく、賃貸を勧めます。
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