投稿日:2024年8月18日
遺族である配偶者が男性であるか、女性であるかにより遺族年金の受給資格に差があった問題について、厚生労働省は改正案をまとめ、年末に提出する予定の年金制度改正法案に盛り込む方針であることが判明しました。
『遺族年金 給付「一律5年」に―20~50代、子なしで―男女差是正へ厚労省案』
まず、現行の制度を確認しておきましょう。
<子どもがいない夫婦の場合の受給資格と受給期間>
■夫を亡くした妻 ⇒ 妻の年齢に関係なく受給資格あり(妻の年齢が30歳未満なら5年間、30歳以上なら終身)
■妻を亡くした夫 ⇒ 夫の年齢が55歳未満なら受給資格なし、55歳以上であれば受給資格あり(但し支給されるのは60歳から、終身)
<厚労省の改正案>
①妻を亡くした夫 ⇒ 夫の年齢に関係なく受給資格あり(夫の年齢が20歳~59歳までは一律5年間、60歳以上なら終身)
②夫を亡くした妻 ⇒ 20年かけて上記①「妻を亡くした夫」と同様の条件にする(法施行日に現行5年間とされている妻の年齢要件を39歳に引き上げ、その後段階的に59歳まで引き上げる)
この改正案だと、男性が受ける保障は手厚くなりますが、30歳以上の女性は受給期間が短くなるため不利益改正となってしまいます。
そこで、
③遺族厚生年金を増額
④遺族の年収要件(年収850万円未満であること)の撤廃
⑤婚姻期間に応じ遺族である配偶者自身の老齢年金を増額
等の配慮規定を設けるようです。
更に、
⑥中高齢寡婦加算(一定の要件の下、夫と死別した40歳~64歳の妻が受け取ることができる年金)を25年かけて廃止する
ことも盛り込まれるようです。
今の公的年金の制度が確立した1985年当時は夫婦の半数以上が専業主婦世帯だったのですが、今は共働き世帯が7割を超えています。
妻の方が稼いでいる(世帯収入の中心となっている)夫婦もいますし、専業主夫もいます。
時代ですね。
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