投稿日:2024年8月26日
令和6年8月18日(日)付の新聞に、『父の不貞 確執生んだ念書~「今後も認知や入籍を請求しない」~母の誓約、子を縛るか』の記事がありました。
不倫相手の女性(愛人)の子が実父に対し認知を求め最高裁まで争った事案についての記事ですが、親の都合で子の人生が振り回される不条理に色々と考えさせられると同時に気分が悪くなりました。
不謹慎ですが、他人事としての読み物と割り切れば相当に面白いです。
事案の概要は次の通り。
①超資産家の理事長が家族に内緒で妻以外の女性(職員)との間に隠し子(Aとする)をもうけた。
②理事長は愛人との間で「認知を求めない」とする念書を取り交わし関係を清算した。
③70歳代になり病気で入院中の理事長を愛人が見舞い、正妻の子(長男と長女)が父の不貞を知る。
④理事長は愛人との間で、「7,000万円を支払う代わりに、今後も認知や入籍を求めない」とする誓約書を取り交わした。
⑤子Aが家裁に認知調停を申し立てた。
⑥家裁はDNA鑑定の結果を受け認知を認めたが、審判後すぐに理事長が死亡したため無効となった。
⑦子Aが家裁に死後認知を提起した。
⑧争点は「愛人が理事長との間で取り交わした合意(念書及び誓約書)に子Aが縛られるのか」。
⑨家裁も高裁も死後認知を求め、最高裁が上告を受理しなかったため高裁判決が確定し、子Aに相続権が付与された。
⑩正妻の子(長女)が愛人相手に慰謝料1,650万円を請求するも、地裁が認めた賠償額は27万円だった。
冷静に考えると、いくら理事長が愛人との間で認知を求めない旨の書面を取り交わしたとしても、その効果が子に及ぶとは考えられません。
だって、子に罪はないから。
嫡出子と非嫡出子の相続分が同じになった(非嫡出子の相続分が嫡出子の半分であった差がなくなった)2013年9月4日の最高裁判決を踏まえれば、当初から結論は出ていたような気がします。(法律家ではないので難しい話はご容赦ください。)
だって、子に罪はないから。
正妻の子と愛人の子は異母とは言え兄弟ですから、本来は喧嘩する間柄ではなく、どちらも親の勝手に振り回された被害者と言えます。
いつの時代も相続後に面倒・苦労をを背負いこむのは子と相場が決まっています。
悪いのは理事長と不倫と知りながら関係を持った愛人の二人…。
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE