ブログ「相続の現場から」

相続実務ワンポイント『103万円の壁は解消されたのか?』

投稿日:2025年4月2日

「令和7年度税制改正」は、「税制改正大綱」を取りまとめる段階で野党との協議合意点を見いだせなかったことから例年に比べ発表が遅れ見切り発車国会法案提出したと思ったら舌の根も乾かぬうちに修正法案が出される等、紆余曲折を経て、近年稀に見るややこしい(分かりにくい)制度となりました。

 

自公政権少数与党のため、野党顔色を伺いながらその時その時でお見合い相手を変える作戦が生んだ弊害と言えるでしょう。

 

背景はさておき、今回の税制改正で一番の目玉であった「103万円の壁」は本当に解消されたのでしょうか?今回はその部分に焦点を充て解説したいと思います。

 

結論から言います。

 

「103万円の壁」の一部は解消されましたが、抜本的には解消されていません。

 

会社員パートで働く夫婦を例にみていきましょう。

 

令和6年までは、

年収103万円を超えると、本人所得税がかかってしまうため、年収が103万円におさまるよう就業調整が図られていました。

 

年収103万円以内であれば、控除対象配偶者として「配偶者控除」が適用されるため夫の税負担は変わらず、仮に妻の年収103万円を超えても150万円までであれば(配偶者控除に代わり)配偶者特別控除」が適用されるため、の税負担変わりませんでした。

 

しかし、妻の年収150万円を超えるとに適用された「配偶者特別控除」段階的に減り始め夫の税負担少し重くなり、妻の年収201万円を超えると「配偶者特別控除」がなくなり、夫の税負担更に重くなりました。

 

一方、妻の年収106万円(働く会社の従業員数が50人以下の場合は130万円)を超えると、厚生年金健康保険加入義務が発生します。給与から「厚生年金保険料」「健康保険料」天引きされますので、妻の手取り減ります。(社会保険料は労使折半のため、雇用している会社も負担が増します。)

 

令和7年からは、

妻の年収160万円を超えると、本人所得税がかかるようになります。言い換えると、年収を160万円以下に抑えれば所得税はかからないことになりました。

 

また、妻の年収160万円以内あれば、夫の税負担不変となります。妻の年収123万円(従来は103万円)までであれば「配偶者控除」が、妻の年収160万円(従来は150万円)までであれば満額「配偶者特別控除」がそれぞれ適用されるためです。

 

妻の年収160万円(従来は150万円)を超えるとに適用された「配偶者特別控除」段階的に減り始め妻の年収201万円(従来同様)を超えると「配偶者特別控除」なくなります。

 

一方、厚生年金健康保険といった社会保険加入基準は今のところ従来同様ですので、妻の年収106万円(働く会社の従業員数が50人以下の場合は130万円)を超えると、「厚生年金保険料」「健康保険料」負担が生じます。(社会保険料は労使折半のため、雇用している会社も負担が増します。)

 

つまり、税負担だけを考えたら、従来の「103万円の壁」「160万円の壁」へ大きく変わりましたが、社会保険も併せて考えた場合、結局「年収を106万円以内に抑えた方が得」と考える人が多いと思います。

 

年収106万円以内に抑えれば、夫の扶養配偶者である第3号被保険者として、月額16,980円国民年金保険料を払わずに将来国民年金をもらうことができるからです。

 

厚生年金に加入すれば「将来もらえる年金が増える」「万が一の場合の障害年金もある」と言われますが、パートで働く人の多くが「将来の年金よりも今の手取り」重視していますので、「所得税がかからないから160万円まで働こう」とはならないと思います。

 

尚、基礎控除の特例(基礎控除に加算される特例措置)にも注意必要です。

 

基礎控除の特例により、年収が200万円以下の方の税負担恒久的軽減されますが、年収200万円~850万円以下の方の税負担軽減されるのは令和7年及び令和8年2年間だけです。

 

今回の税制改正によりどれくらい減税されるのか専門誌の試算によると、年収150万円以下2.3万円年収200万円~1000万円2.0万円年収1500万円3.4万円年収2500万円4.1万円だそうです。

 

だったら定額給付すればいいのに…。その方が恩恵を受ける人の負担も減るし、分かりやすいし、手続きも楽なのに。

 

昨年定額減税評判が悪かったですが、今回の税制改正定額減税同様大した効果がないのに無理に制度をややこしくしているとしか思えません。

 

わざと国民が理解できないような制度にしているのかな???

 

メールアドレスを登録

相続実務研修吉澤塾

  • 半年コース

1日コース

  • 一日集中講座
  • 事業承継一日講座
  • 民法改正一日講座

お客様・参加者の声

ブログ「相続の現場から」

相続診断協会

pagetop