投稿日:2015年11月10日
巷でかなり盛り上がってますね、タワマン節税にメスが入るかもしれないと言う話し。
新聞やニュースだけでなく、今週の「税務通信」や「T&Aマスター」等会計専門誌もこぞってこの話題を取り上げています。
その概要が少しずつですが見えてきました。
と言っても、結局どうなるのかさっぱり分からず、突っ込み処満載なんですけどね。
10月27日に開催された資産課税をテーマにした政府税制調査会で、行き過ぎたタワマン節税に関する何らかの指摘があった様子で、10月29日に国税庁が記者発表し、次の通り見解を示しました。
「当庁としては,実質的な租税負担の公平の観点から看過しがたい事態がある場合には,これまでも財産評価基本通達6項を活用してきたところですが,今後も,適正な課税の観点から財産評価基本通達6項の運用を行いたい(*)と考えております。」
*財産評価基本通達6項「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価する。」
つまり、「あくまで相続財産の評価は財産基本通達が基本だけれど、やり過ぎな事案には伝家の宝刀である“総則6項”を抜きますよ」という半分脅し(?)的な見解です。
気持ちは分かります。
時価1億円するタワマンが2~3千万円、物件によっては1千万円程度で評価されることもあり、「さすがにやり過ぎ」の声は良く聞かれます。
お金を貸したい銀行、ロットの大きいタワマンで手数料を稼ぎたい不動産業者、儲かる建築会社、相続案件を獲得するチャンスの税理士、相続ブームに便乗し一儲けを企むコンサル会社等がこぞって「タワマン最高!」と騒ぐからこうなるんです。
国税庁がそこまで言うなら、思い切って通達改正すればいいのに、そこまで踏み込む気は<今の所>ないみたいですね。
ただでさえ、旭化成建材の杭問題があり、そこへタワマン節税にメスを入れてしまうと、その余波で都心部のマンション価格まで下落してしまい、何としても東京オリンピックまでは景気好調を持続させないといけない政府の意に反してしまいますから。
「節税目的だけでタワマンを購入し、形式を整えるために実際に誰かがそこで3年間暮らし、結果想定通りに節税になり、ほとぼりが冷めた後にタワマンを売却した人」と、
「タワマンで暮らすのが昔からの夢で、ようやく念願のタワマンを購入出来たのに、引っ越してから1ヶ月も経たず死亡してしまい、結果的に大幅に節税になった人」。
この区別(仕分け)は相当難しいでしょうね。
「事実認定」と言っても、何を根拠に、どうやって見分ける(見破る)のでしょうか?
実際の所、限りなくクロに近いグレーじゃない限り、総則6項を適用させるのは難しいのではないでしょうか。
本件、ライフワークとして継続ウォッチしていきたいと思います。
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE