投稿日:2015年12月3日
相続税・贈与税における土地の評価は「路線価・倍率」が基本です。
では、「路線価・倍率」を採用しないで申告することは可能でしょうか?
答えは、『「可能」とも言えるし、「不可能」とも言える』です。
そもそも、相続税法第22条(評価の原則)では、「~相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により~」と定義されています。
つまり、「相続財産は時価で評価する」と書いてあります。
そして、財産評価基本通達第1章(総則)1(評価の原則)(2)時価の意義では、「財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい~」と書いてあります。
つまり、「時価とは、客観的な交換価値である」と言っています。
更に、財産評価基本通達第2章(土地及び土地の上に存する権利)11(評価の方式)では、「宅地の評価は、原則として、(1)市街地的形態を形成する地域にある宅地は路線価方式で、(2)(1)以外の宅地は倍率方式で、それぞれ行う。」と書いてあります。
では、時価と評価額が大幅に乖離している土地等を評価する場合、何をもって時価と言うのか、客観的な交換価値とは何を指すのか、???ですよね。
???の不動産の場合、<例外>を検討できる(余地がある)と考えて下さい。
しかし、あくまで<例外>は<例外>に過ぎず、<原則>があるから<例外>が存在する訳で、誰でもが勝手に<例外>を選択できるかと言うと、そうではありません。
各人に勝手かつ自由な解釈を認めてしまったら、課税事務が無茶苦茶になってしまうからです。
(しつこいですが)<原則>が馴染まない場合に限り、特例的に<例外>があると考えて下さい。
例えば、
●特殊事情により購入希望者がゼロの無価値物件
●取り壊さないと危険なアスベストを使用した建物が存在している物件
●建築確認要件を満たさず、時価と評価額が大幅に乖離している物件
等が、<例外>を検討しても良い不動産に該当します。
<例外>を採用する場合の代表的な手法としては、
①不動産鑑定士による不動産鑑定評価
②直近の売買価格に時点修正を加味した額
等が挙げられます。
そもそも、標準的な真四角の整形地は意外と少なく、土地を評価するに際し、「間口」や「奥行き」「不整形地」「がけ地」「広大地」等の<画地補正>を行うのが常であり、<例外>を持ち出すまでもなく評価を引き下げられることが多々あります。
<原則>がある以上、<例外>を持ち出すにはそれなりの理由が必要ですので、安易な考えは慎まないといけません。
バブル期に比べ、落ちてきたとは言え、相続財産に占める不動産の割合は未だに50%近くあります。
相続財産と言ったら、まず「不動産」です。
と言うことは、「相続(税)に強い」=「不動産に強い」と言えるかもしれません。
常日頃から色々な方面にアンテナを伸ばし、柔軟な発想を持つようにしておかないといけませんね。
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