投稿日:2016年1月4日
「遺産分割」とは、相続が発生し、共有状態となっている遺産を各相続人へ分配し取得させる手続きのことを言います。
遺産分割の手続きには、「協議」「調停」「審判」があり、原則として一度成立した遺産分割を<やり直す>ことは出来ません。
しかし、成立した遺産分割が無効・取消し得るものだったり等、一定の場合<やり直す>ことが出来る場合があります。
例えば、
●遺産分割を話し合う時に見つかっていない財産があり、遺産分割協議が成立した後にその財産が見つかった場合、「あの財産があるなら僕はこの条件で印鑑を押さなかった」
●相続人持ち回りで遺産分割協議書に署名押印した所、後になって「あいつがあんなにたくさん相続するなんて聞いてない、知っていたら僕は印鑑を押さなかった」
と言う人がいるかもしれません。
そのような場合、最初の遺産分割協議書を作成した際話し合いに参加した相続人全員が「遺産分割のやり直しに異議はない」と言ってくれれば(相続人全員の合意があれば) 、一度作成された協議書を無効として<やり直す>ことができるのです。
しかし、注意しなくてはならないのは、(民法上)遺産分割のやり直しが認められても、(税法上)は認められないと言うことです。
税法では、「再度話し合いを行って決定された遺産分割に関しては、遺産の分割として認めない」と言っています。
遺産分割のやり直しの結果、財産を移転させた場合、既に相続が完了している財産の「譲渡」「交換」「贈与」に該当し、課税の対象として取り扱われてしまうんです。
つまり、「遺産分割協議をやり直すことは可能だが、その後に新たな税金が発生する可能性がある」のです。
相続人全員が同意するなら遺産分割協議のやり直しは可能です。
しかし、一度納税した相続税を取り返し、税金について最初から<やり直す>ことは出来ません。
相続に携わっていると、弁護士と税理士の間で意見が食い違う場合が時々あります。
それぞれ守備範囲が「相続=民法」と「相続税=税法」と違うことから生じる意見の食い違いです。
お客様にアドバイスする場合、後々トラブルにならないよう、充分注意しましょう。
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