投稿日:2016年4月26日
「親の世代」と「子の世代」、このジェレネーションギャップが相続に悪影響を与えるケースに遭遇しました。
先日個別相談に応じた事案。
相談者は長男、実家は農家、長男の宿命として「先祖代々の土地を次の世代に承継しなければならない」と真剣に考えていました。
当然両親とも同居し、両親と一緒に先祖から受け継いできた田畑等を守っています。
ところが、長男の他の兄弟達は「今はそんな時代じゃないんだから、親が死亡したら均等に分けよう」のスタンス。
確かに、周辺は宅地開発され、田畑が残っているのは相談者の周囲だけ、実際長男家族もアパート等の賃貸収入で生計を立てています。
いくら先祖代々の大義名分があったとしても、この先農業を継続していくのは難しいでしょう。
現行民法では相続人が子4名の場合、4分の1ずつ相続するのが基本です。
但し、親が遺言を作成すれば、法定相続分を無視し、(ある程度)希望を叶えることが出来ます。
ところが、親は「絶対に遺言なんか作成しない」と公言しているとのこと。
親曰く、「長男が先祖代々の土地を相続するのは当たり前。嫁いだ子や分家は印鑑代で済ますのが当家の流儀。私達の子なら当然そのことを理解しているはず。第一、私達が親から相続した時、他の兄弟達は何も言ってこなかった。」と。
親が祖父母から相続したのは昭和22年の初めだそうです。
昭和22年…アチャー、民法改正の時ですね。
昭和22年5月2日までの相続は旧民法適用、つまり「家督相続」です。
そりゃ、他の兄弟姉妹は「何も言わなかった」でしょうね、と言うか「何も言えなかった」が正しいかな。
だって、長男がすべて相続するルールでしたから。
この時代の人に色々と理解させるのは難しい…ほぼ無理。
だって、80年以上生きてきた大先輩に、法律がどうの、時代が…、今の世の中は…って説明した所で、「なるほど、そうですか」なんて素直に聞く訳ないじゃないですか。
さて、どうしたものか。
「無理」と片付けてしまうのは簡単ですが、ここから何等かの突破口を見つけないといけませんね。
本当に「相続」は答えがない世界だなあと思います。
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