投稿日:2016年7月19日
法務大臣の諮問機関である法制審議会が6月21日にまとめた「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案(案)」について、実務家目線で斬っていくシリーズ。
今回は③『配偶者の相続分の見直し』
<A案>
「披相続人の財産が婚姻後に一定の割合以上増加した場合に、その割合に応じて配偶者の具体的相続分を増やす」
<B案>
「婚姻成立後一定期間(20年若しくは30年)が経過した場合、夫婦の合意により配偶者の法定相続分を引き上げることを認める」
<C案>
「婚姻成立後一定期間(20年若しくは30年)の経過により、当然に配偶者の法定相続分が引き上げられる」
*B案及びC案共に、
・配偶者と子の場合、「配偶者2/3+子1/3」
・配偶者と直系尊属の場合、「配偶者3/4+直系尊属1/4」
・配偶者と兄弟姉妹の場合、「配偶者4/5+兄弟姉妹1/5」
A案、どうやって計算するのでしょうか?
婚姻時に「僕はこれだけ持ってるからね」と純資産の棚卸ししとかないと最終的に増えたかどうか判定できませんよね?
そもそも、妻のおかげで夫の財産が増えたのかどうか、誰が、どうやって判定するのでしょうか?
もしかしたら、妻がしっかりしていたらもっと財産が増えていたかもしれませんよ。その部分は逆に考慮されないのでしょうか?(妻の浪費癖がなければもっと財産があったのに…みたいな)
B案及びC案、婚姻後19年11ヶ月で相続が発生しても増えないのでしょうね。
事実婚15年、その後入籍して8年、計23年一緒に暮らしても、判定は戸籍に入っている8年しか考慮されないのでしょうね。
後妻との婚姻が20年(30年)経過し、夫婦で法定相続割合の引き上げに合意したら、先妻の子は指をくわえて見ているしか出来ないのでしょうか。
C案の場合、離婚の話し合いを32年間続け、別居状態のまま結局離婚が成立せずに相続が発生した場合でも妻の法定相続割合が当然に増えるのでしょうか?
う~ん、実務に与える影響大きそうですね。
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