投稿日:2016年11月4日
法務省法制審議会の「民法(相続関係)部会」が今年6月21日に公表した『民法(相続関係)等の改正に関する中間試案』によると、「相続人に対する贈与は相続開始前の一定期間(例えば5年間)にされたもののみ遺留分算定の基礎財産に参入する」と提案されています。
と言うことは、法案が国会通過した場合、早い段階で(相続発生の5年より前に)長男へ自社株を贈与してしまえば、先代に相続が発生しても贈与された自社株は特別受益(財産の前渡し)に該当しないことになります。
つまり、事業承継スキームが大幅に変更される可能性があります。
現在ある「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の「遺留分に関する民法特例」では、推定相続人全員の合意の下、
●除外合意…後継者に贈与された自社株を遺留分算定基礎財産から除外する
●固定合意…遺留分算定基礎財産に参入する自社株の価額を合意時の時価に固定する
ことが出来るとされていますが、ほとんど利用されていないのが実態です。
自社株だけじゃなく、農家における田畑等、現実的に分割不可能な財産しかない資産家にとって、早目の贈与が相続対策上有益になるかもしれません。
一方、何も知らない相続人(例えば後継者以外)にとっては<蓋を開けてビックリ!>となるでしょうから、それによるトラブルも出るでしょうね…。
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