ブログ「相続の現場から」

相続ルールの見直しから目を離せない

投稿日:2017年8月7日

現在、法務省の法制審議会の民法(相続関係)部会相続に関する民法改正について議論されています。

議論されている項目は、法定相続割合遺留分寄与分自筆証書遺言等、気になる項目目白押しです。

 

その中で、特に気になっていた「配偶者の相続割合を増やす案」、今回見送りになりました。

昨年6月21日に公表された「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」には盛り込まれていたのですが、パブコメで反対意見が多かった様子です。

 

<昨年の中間試案>

案①被相続人の財産が婚姻後に一定割合以上増加した場合、その割合に応じて配偶者の相続分を増やす。

⇒ 一体どうやって計算するの???結婚する時にスタート財産を見せっこしないといけないの???

案②婚姻成立後20年等一定期間が経過した場合、夫婦の合意により配偶者の相続分を増やすことが出来る。

⇒ 20年経ったら先妻の子はなすすべなし???

案③婚姻成立後20年等一定期間経過により、当然に配偶者の法定相続分が引き上げられる。

⇒ 婚姻関係が破綻してても当然に???離婚調停やってても自動的に???

 

と突っ込み処満載だったのですが、要綱案では見送りとなりました。

 

一方、「婚姻期間が20年以上である配偶者から居住用財産の全部又は一部の贈与等があった場合、持戻し免除の意思表示があったと推定する」取扱いが盛り込まれそうです。

 

つまり、一定の居住用財産が特別受益(財産の前渡し)から除外される、と言うことです。

 

この案が成立した場合、(超過特別受益である場合を除き)配偶者へ贈与した居住用財産を除外して遺産分割を話し合うことになりますので、配偶者は自宅の分だけ多くの財産を相続出来ることになります。

 

これは、税務上の「贈与税の配偶者控除(婚姻20年以上の配偶者へ居住用財産を贈与しても2,000万円まで非課税となる制度)」をイメージしているものと思われます。

 

実務に影響を与える改正ですね。

 

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