ブログ「相続の現場から」

代表取締役辞めたら退職金支給OKって単純に考えちゃ駄目ですよ

投稿日:2017年8月13日

役員報酬が過大か否かを巡り裁判となっている沖縄の比嘉酒造(泡盛「残波」で有名)事件、事業承継に携わっている関係者の間では興味津々です。

 

争われているのは次の2つ。

(1)役員報酬が過大か否か

(2)役員退職金が過大か否か

 

(1)役員報酬が過大か否か

東京地裁は、国税側が沖縄県及び熊本国税局管内で「倍半基準(売上規模0.5倍以上2倍以下)」の類似法人を抽出したことは合理的であるとし、「比嘉酒造の役員報酬は高額である」と国税側の課税を支持しました。

また、東京高裁も比嘉酒造の控訴を棄却しました。

現在、納税者は最高裁へ上告しています。

 

双方の主張を読むと、それぞれに一理あり、なかなか面白い。

最高裁がどう判断するのか興味深く注視しています。

 

(2)役員退職金が過大か否か

東京地裁は、国税側が沖縄県及び熊本国税局管内で「倍半基準(売上規模0.5倍以上2倍以下)」の類似法人を抽出したことは合理的であるとし、(ここまでは役員報酬と同じですが)「比嘉酒造の役員退職金は不相当に高額ではない」と国税の課税を取り消しました。

 

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ポイントは、以下の通り。

①基準となる役員報酬は、その人の最終月額報酬か、同業他社の最高額か、同業他社の平均額

②勤続年数は、代表取締役の在任期間か、平取締役を含めた期間

 

功績倍率を巡る争いはよくありますが、比較法人の役員報酬勤続年数についての判断は珍しいですね。

 

本件について(裁判では争点になりませんでしたが)沖縄国税不服審判所では、分掌異動(代表取締役から取締役に降格、役員報酬3分の1に減額)が退職金支給事由に該当するかどうかについても異論を挟んでいます。

 

役職変更や給与減額がどんなものでも(損金となる)退職金支給事由に該当すると勘違いしていませんか?

 

もしそう信じてオーナー社長に退職金提案しているなら危ないですね。

税の世界では実態が全てですよ。

 

おっと危ない、この話し、いつか研修で話そうと温めているネタでした。

 

尚、(2)について国税は控訴しなかったので、一審の納税者勝訴が確定しています。

 

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