ブログ「相続の現場から」

相続の現場から『揺れ動く心』

投稿日:2018年1月29日

遺言作成サポートした案件の話し。

 

Aさん(女性)が「全財産を長女へ相続させたい」と希望したため、公正証書遺言を作成することになりました。

 

Aさんの夫は既に他界、子は長女と長男の2人だったのですが、長男は既に他界されていました。

長男は二度結婚しており、最初の妻との間に子が2人、後妻との間に子はいません。

 

当方から紹介した司法書士と一緒に話を伺っていた時のこと、Aさんから

「私の老後をずっと世話してくれているのは長女だし、長女の子も私になついているので、長女に全財産を相続させたいと考えました。しかし、孫2人も相続人ですよね?たいした財産じゃないから遺留分と言っても長女が何とかできる額だと思います。孫とは30年近く会っていないし、成人式の時に着物を作ってあげたいと申し出た時も謝絶され、長いこと音信普通です。ですから長女に全財産を相続させる気持ちに揺らぎはありません。でも、死ぬまでにもう一度孫に会いたいのですが…例えば、遺留分見合いとして100万円あげるから会ってとお願いするのは駄目かしら。」

 

気持ちは分かります。

「全財産は長女へ」と思っていても、最後にもう一度大きくなった息子の子(孫)に会いたいと思う気持ち、揺れ動く心境、痛いほど分かります。

 

が、「お金をあげるから会って」というのはどうでしょうか。

 

遺留分云々は置いておいて、素直に「会いたい」とお願いするのが良いのではないでしょうか。

会ってみて、気持ちが動いたらその時は遺言内容を見直しましょう。

会ってくれなかったら、このまま話を進めるだけです。

 

相続は<人の気持ち>がからむので本当に難しい。

こちらの価値観を押し付けてもいけないし。

 

知識だけでは乗り越えられない大きな壁があるなと感じる今日この頃です。

 

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