投稿日:2018年10月9日
今回の民法(相続法)改正により、『遺留分制度』が大きく変わります。
なんと言葉も変わってしまうんです。
この改正、相続実務に大きな影響を与えますので、今の内にしっかり理解しておきましょう。
例えば、父の相続人が息子2人で、父が遺産である「自社株、不動産、預貯金」の全てを長男へ遺言により相続させ、二男が長男に対して遺留分を主張した例で考えてみましょう。
現行の「遺留分」制度だと、遺留分を侵害した部分を限度に自社株、不動産、預貯金の全てが長男と二男の共有状態となるため、二男は自社株が欲しくても自社株だけを特定して減殺請求することはできません。
一方、長男は自社株に見合う金銭を価額弁償し自社株の引き渡しを免れることができます。
(長男は、自社株についてだけ価額弁償し、不動産は現物分割する方法を選択することも可能です。)
つまり、現行の「遺留分制度」は「物権的請求権」と言い、物の分割を請求する手続きなんです。
同じ事例で、改正後だと『遺留分侵害請求』と言葉が変わります。
二男が長男に対し遺留分侵害請求権を行使したとしても、長男が相続した自社株、不動産、預貯金は共有状態とならず、二男は「侵害額に応じた金銭の支払い請求することができる」とされます。
(あくまで「できる規定」ですので、二男は自社株についての返還を求めることもできます。)
つまり、「物権的請求権」である『遺留分減殺請求』が、「金銭的請求権」である『遺留分侵害請求』に変わるのです。
この改正を実務でどう活かすか、どのように対策に組み込んでいくか、が知恵の見せ処ですね。
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