投稿日:2020年8月11日
昨今の「事業承継」ブーム、巷では「事業承継バブル」と呼ばれているんだそうです。
代表者の高齢化、後継者不在、事業構造の変化等、事業を取り巻く環境は中小企業が存続するのに厳しい状況となっており、そこに目を付けた金融機関や会計事務所、法律事務所、事業会社、保険会社、コンサルタント等が、自分たちの得意分野を生かした提案を駆使し争奪戦を繰り広げています。
でも、最近、そもそも「事業承継」って何だろう…?って思うんです。
事業承継の研修に参加すると、そのほとんどが自社株対策です。どうやったら株価が下がるか、いかに税金を払わずに済むか。たまに種類株や税制、資金繰りの研修もあります。最近だと信託の研修も増えています。どちらにしても事業承継研修のほとんどは「財産」や「手法」に関するものです。
ニーズがそこにあると言ってしまえばその通りなので何も言い返せないのですが、実際事業承継に携わっていると「そもそも、その会社は残すべき会社なのか」って感じることが多いんです。
(こんなこと言うと怒られちゃいそうですが)その会社がなくなって取引先は困るのですか?お客様は困るのですか?後継者の未来は明るいですか?事業の先行きは明るいですか?が抜けてる気がするんです。
以前、二代目から三代目への事業承継相談に乗った際、長いこと収益的に芳しくなく、この先の見通しも暗い会社だったので、二代目に「社長、社長が今会社を継がなきゃいけない立場だったら、嬉しいですか?」と聞いた所、「嬉しい訳ないだろ!嫌だよ!」と言われました。
椅子から落ちそうになりました…。
「え!?でも社長は長男に継がせようとしてますよね?自分だったら嫌なのに。なんでですか?」と聞いた所、「だって、僕も嫌だったけど継いだし。定めですよ。家業ってそう言うもんでしょ。」と言われました。
僕は家業を継いだことがないし、子に継がせるつもりもないので、実際の心境は分かりません。でも何か違うな…と思います。
今ギリギリで何とか持ちこたえているだけの会社であれば、勇気を出して撤退を視野に入れても良いのではないでしょうか。親が創業したから、歴史ある会社だから、思い入れが強いから、家業だから、この仕事が好きだから…残したい理由は人それぞれだと思いますが、【事業を承継する】=【会社を残す】なら、《残すべき価値のある会社かどうか》も重要ではないでしょうか。
なくなったら皆が困る会社なら残しましょう!
なくなっても誰も困らない会社なら辞めましょう!
なくなったら皆が困る会社にしましょう!
事業承継って本当に難しい…。
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