ブログ「相続の現場から」

贈与税改正の行方

投稿日:2022年1月14日

昨年「令和5年から改正される」「110万円はなくなります」と世間を騒がせていた贈与税、結局令和4年度税制改正では議論すらされず翌年度以降に持ち越しされました。

 

年末に発売された雑誌ネット等では、「令和4年が贈与できる最後のチャンス!」煽りまくってましたね。

 

ちょっと騒ぎ過ぎです。僕も年末にお客様から「今月いっぱいに贈与しないといけないってTVで言っていたのですが…」とたくさん相談を受けました。

 

令和4年度税制改正大綱には「基本的考え方」として、次のように書かれています。

 

2.経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し

(2)相続税・贈与税のあり方

 高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており、結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。
 高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。
 一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たす上で重要な役割を担っている。高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば、格差の固定化につながりかねない。
 このため、資産の再分配機能の確保を図りつつ、資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である。

 わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。
 今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
 あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

 

この文章の9割令和3年度税制改正大綱に記載されたものと同じですので目新しさはありません。

 

ですので、この文書から将来の改正動向を予想するのはなかなか難しいものがあります。

 

「相続税と贈与税の一体化」を完璧な形で実現させたいのであれば、暦年課税制度の基礎控除(110万円)を廃止し相続時精算課税制度に一本化するのが一番確実です。しかし、現場は相当混乱するでしょうし、課税当局の調査も限界を超えてしまいます。

 

それを乗り越えてまで改正するでしょうか…?

 

その他、「110万円を60万円に戻す」「相続開始前の贈与加算を現行の3年から5年或いは10年に延ばす」等の案も雑誌には出ていましたが、果たしてどうなるのでしょうね。

 

昔から自民党が目指している相続税の課税方式を現行の法定相続分課税方式から遺産取得課税方式変更する改正を実現させるのであれば、ここで中途半端に贈与税をいじることはないのではないでしょうか。

 

しかし、遺産取得課税方式への改正は相当高いハードルですから、いつ実現するか分からない夢物語よりも、まずは富裕層の課税逃れを阻止しよう現実路線で考えるかもしれません。

 

どちらにしても、令和5年度税制改正で改正されたとしても令和6年1月以降の話ですから、まだ少し先の話になります。

 

とは言え、今の内から改正された場合を踏まえた対策を考えておかないといけませんね。

 

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