投稿日:2022年7月2日
来年4月から、「特別受益(財産の前渡し)」及び「寄与分」を勘案した遺産分割ができる期間が相続開始日から10年以内に限られてしまいます。
今までと相続ルールがガラっと変わりますので、今回は本改正の注意点について解説したいと思います。
遺産分割には、「生前に故人から財産をもらっていた」とか「老後の面倒を見た」等の様々な出来事が影響を与えます。
確かにその通りかもしれませんが、法的にどうなのかの問題と気持ちの問題(精神論)は異なりますので、それぞれが主張を繰り広げると収拾がつかなくなり、結果遺産分割が長期化し、預貯金は下ろせない、不動産は故人名義のままで建替えも売却もできないとドロ沼化してしまいます。
ドロ沼化して得する人は誰もいません。
そこで、遺産分割の長期化を防ぐために、「兄はマンション購入時の頭金を父に出してもらっている」とか「私は会社を辞めて父の面倒を見た」等の主張を織り込んだ遺産分割を行うためには「相続開始から10年以内に限る」と改正することで、相続開始から10年を超えた遺産分割が減ると期待されているのです。
気をつけなければいけないのは、施行日に既に相続開始から10年経過している場合です。
法改正施行日に、相続開始から10年経過しているのにまだ遺産分割が成立していない場合は猶予期間が設けられているのですが、猶予期間は5年間しかありません。施行日から10年間だと勘違いして悠長に話しっていると特別受益や寄与分を加味した遺産分割を行えなくなってしまうのです。
法改正施行日まで1年を切りましたので、まだ遺産分割が成立していない方がいましたら、1日でも早く話し合いを開始することをお勧めします。
民法は相続ルールの根幹ですから、正しく理解しましょう。
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