投稿日:2022年10月8日
9月16日(金)、政府税制調査会に「相続税・贈与税に関する専門家会合」が設置されました。
これから本格的に令和5年度の税制改正に向け、「相続税や贈与税をどうすべきか」の議論が進んでいくことになります。
令和3年度税制改正で急浮上した“贈与税問題”ですが、「暦年課税制度(贈与税の基礎控除額110万円)を廃止して相続時精算課税制度に一本化すべき」と言う強硬意見もありますので、どのような結論に至るのか興味津々ですね。
政府税調の中里会長は、
●暦年課税制度は廃止しない
●あまり利用されていない相続時精算課税制度の利便性向上を目指す
と発言しています。
どうやら、今回は110万円を廃止すると言った議論は行わず、利用状況が低迷している相続時精算課税制度のテコ入れを中心に議論するようなんです。
但し、「教育資の一括贈与」や「結婚・子育ての一括贈与」と言った時限措置の特例は廃止(延長しない)を含めて議論する様子です。
となると気になるのは、節税目的で活用されている暦年課税制度の贈与税についてどのような措置が取られるのかという点。
110万円を存続させるのであれば、相続財産に加算される暦年贈与の期間が現行の3年から5年、7年、10年へ延ばされるかもしれませんね。
国としては、最終的に暦年課税方式の贈与を廃止(或いは大幅に基礎控除額を縮小)し、相続税の課税方式を現行の「法定相続分課税方式」から、アメリカの「遺産課税方式」やドイツやフランスの「遺産取得課税方式」に変更することが目標のようです。
そうなるとかなり壮大な大改正になりますので、実現のハードルは限りなく高くなります。
つまり、結局マイナーチェンジが繰り返され、国民にとって使い勝手の悪い、ややこしい制度となってしまう…なんて事態も想像できてしまいます。
12月中旬に予定されている「税制改正大綱」の発表まで約2か月、要注目ですね。
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